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「俺らもおじさんになったけど」男子バレー“BBQ決起集会”でポツリ…“今年30歳”石川祐希、小野寺太志、大宅真樹が思い出す12年前の夏「ある事件が…」
posted2025/07/20 06:01
今年30歳となる石川祐希、大宅真樹、小野寺太志。ユース時代から知る同学年の3人が“12年前の夏”を振り返った
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuki Suenaga
狙い通りの攻撃が、1本目から鮮やかに決まった。
7月17日、バレーボールネーションズリーグ千葉大会の第2戦。対するは、パリ五輪の予選リーグで勝利したアルゼンチン。千葉大会では初のスタメン出場となったセッターの大宅真樹がこの日、1本目のトスを託したのはミドルブロッカーの小野寺太志だった。
「まずはリズムをつくりたかった」と、最初からセンター線からの攻撃を活かすことを決めていた。そんな大宅のもとへ、どの攻撃も選択できる見事なレシーブを返したのは、主将でアウトサイドヒッターの石川祐希だ。
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3人が連動して幸先いいスタートを切った。
交代を命じられたセッター大宅
しかし、第1、2セットをともに23ー25で競り負けると、大宅は第3セットで交代を命じられる。1歳下のセッター永露元稀がコートに入ると、同じく途中出場組の富田将馬やこの日のチーム最多23得点を挙げた宮浦健人の活躍で日本はフルセットの末に大逆転勝利を飾った。
交代後もベンチで常に声を出し、サーブ時には手拍子でチームを盛り上げた大宅は「チームが勝つことが大事だったので勝ててよかった」と安堵しながらも、素直な思いを口にした。
「替えられた悔しさはめちゃくちゃあります。何で? って気持ちもあったし、自分自分に対しても正直、怒りというか、腹立たしさもあったんですけど、それをベンチで出す必要はない。チームの中でどう評価されるか、そのために何ができるかを考えて行動に移せるようになったのは、自分の中では成長できたことだと思ってます」
悔しくても顔には出さず「チームのために」と徹する。12年前、石川と小野寺と共に日の丸を背負った時の大宅では考えられない言葉だった。

