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西田有志の休養「すごく理解できます。投資の仕方が違うだけ」男子バレー宮浦健人26歳が“勝負の1年”と断言する理由「目指す先は同じだと思う」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2025/07/17 17:12
試合前、入念にストレッチするバレーボール日本代表の宮浦健人(26歳)
「日本にはいいオポジットがたくさんいるから、自分も頑張らなきゃいけないと思いますよ。でも、やっぱり、宮浦さんは“特別”。僕は宮浦さんが日本を代表するオポジットだと思っている。というか、宮浦さんが日本で最強のオポジットだから、日本代表だけじゃなく、SVリーグでも外国人のオポジットがいるチームに宮浦さんが負けると悔しいんですよ」
最大のライバルであり、でも、最強の仲間。宮浦も“西田が不在だからチャンス”なのではなく、試合に出続けることで自らの成長を求めている。
「一番大切なのは4年後(ロス五輪)にどういう自分がいるか。そのために西田選手は今の選択をしたはずだし、自分は試合に出続けて結果を求めて、成長につなげたい。それぞれがどういう選手になっているか。“投資”の仕方が違うだけで、目指す先は同じだと思っています」
「自分のやるべきことをやるだけ」
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今シーズン初めての日本開催の国際試合。そのドイツ戦で宮浦は何度も見せ場をつくった。
前述のサービスエースのみならず、第4セット終盤にはまたもサーブが光った。相手の守備を崩し、そして、自らのバックアタックで22ー18とリードを広げた。会場も大いに沸いたが、ここでの宮浦は大きく煽るようなガッツポーズではなく、小さく静かに右手を握りしめてコートエンドへ歩き出した。次のサーブへの準備をするためだ。
「サーブのフィーリングが自分の中で戻ってきたし、点差もあった。ああいう場面で隙を見せたくなかったので、次に集中したい。それだけを考えていました」
高揚してもなお、自らの役割を全うする。
「チームを引っ張って、自分の力で勝利をつかみにいきたい。でも、大きなことを頭に置きながらプレーしたくないので、まずは冷静に。自分のやるべきことをやるだけ。その中で一つずつ、いいところを伸ばして、悪いところを改善していく。自分ができるのは、それだけです」
ここからの3年――。
「今日の試合で、まだまだ満足はできないですけど、4年前に比べたら、自分も得点という部分ではチームを引っ張れた。とにかく、勝てたことが大きいです」
浮かれることなく地に足をつけて。ただひたすらに、心を燃やす。静かな闘志を、ここぞという場面で爆発させるために。



