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西田有志の休養「すごく理解できます。投資の仕方が違うだけ」男子バレー宮浦健人26歳が“勝負の1年”と断言する理由「目指す先は同じだと思う」
posted2025/07/17 17:12
試合前、入念にストレッチするバレーボール日本代表の宮浦健人(26歳)
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuki Suenaga
渾身のサービスエースだった。
バレーボールネーションズリーグ千葉大会、初戦。日本代表は1年前のパリ五輪で苦杯を嘗めたドイツ相手にまたも先手を取られた。
しかし、セットカウント1ー1で迎えた第3セット終盤、オポジット宮浦健人のサービスエースが決まり、23ー22。勝負の分かれ道となるポイントを奪った宮浦は、右手を力づよく握ってガッツポーズを見せると、二度、三度と跳び上がって両手を突き上げた。
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「絶対に勝つ」とばかりに観客席に向かって叫び、両腕を上から下へと大きく動かす。何と叫んだかは記憶にない。ただ、割れるような歓声が最高に気持ちよかった。
「試合の序盤は(サーブの)トスが低かった。あまりフィーリングはよくなかったんですけど、あの場面は攻める選択肢しかない。とにかく攻めて、結果につながってよかったです」
逆転で制した第3セットの勢いそのままに、試合は3ー1で日本が勝利した。
4年前の苦い記憶
数分前までコートで爆発させていた感情とは裏腹に、ミックスゾーンでは冷静に自身のプレーや状況を振り返る。その姿が、実に宮浦らしい。
今大会、宮浦はここまでチーム最多となる137得点(7月16日時点)を叩き出している。しかも、僅差の展開で一気に流れを引き寄せるサーブは際立っている。ただ、実は会場となる千葉ポートアリーナには、苦い記憶もある。
4年前、2021年9月のアジア選手権だった。
「あの時はコロナだったので、歓声もなかった。今日とはまた全然、違う雰囲気でした」
思い返せば何もかも、今とは全く違う景色の中にいた。

