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「セナ、なんで泣くの?」号泣するセッター関菜々巳にブラジル主将が贈った“アイラブユー”の意味とは?「セナのいる日本とやるのは本当に嫌!」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2025/07/14 17:04
ブラジル代表エースのガビ(31歳)と言葉をかわす関菜々巳(26歳)。昨シーズン、イタリア・セリエAのイモコ・コネリアーノで共にプレーした
パリ五輪を終えると、関はイタリアへ渡った。
2024/25シーズンに所属したイモコ・コネリアーノは世界のトップという称号にふさわしく、イタリア・セリエAだけでなくコッパイタリア、世界クラブ選手権、欧州チャンピオンズリーグなどすべてのタイトルを制した強豪中の強豪だ。各国の名だたるスーパースターが揃い、前述のガビともチームメイトになった。
関の定位置はセカンドセッターで、出場機会こそ限られたものの、ガビを始めとする超一流の選手たちと過ごす時間は、何事においてもネガティブだった思考を変えるきっかけとなった。
「I LOVE YOU!」の真意
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特に関が「今でも忘れられない」と振り返るのが、2月のコッパ・イタリアだ。
決勝では同じイタリア・セリエAでリベロ福留慧美が所属するミラノと対戦した。1点を争う拮抗した展開の中、関に出番が巡ってきたのは第1セット終盤。21ー20の場面でリリーフサーバーとして出場したが、サーブはエンドラインを割った。
結果的にはコネリアーノが3ー0で勝利したが、限られたチャンスを活かせなかった関は、その1本のサーブミスを拭いきれず、歓喜するチームメイトの中でひとり涙した。
関が「忘れられない」と振り返るのは、その後の出来事があったからだ。
ガビをはじめとするチームメイトたちが涙する関を囲み、「I LOVE YOU!」と何度も叫んだ。
「なぜ勝ったのに泣くの?」
自らのミスを責める関に対するエールだった。それが関はたまらなく嬉しかった。
あれから4カ月。ブラジル代表として来日したガビにその真意を聞いた。当時のことを「よく覚えている」と笑いながら振り返る。


