バレーボールPRESSBACK NUMBER
「セナ、なんで泣くの?」号泣するセッター関菜々巳にブラジル主将が贈った“アイラブユー”の意味とは?「セナのいる日本とやるのは本当に嫌!」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2025/07/14 17:04
ブラジル代表エースのガビ(31歳)と言葉をかわす関菜々巳(26歳)。昨シーズン、イタリア・セリエAのイモコ・コネリアーノで共にプレーした
「セナは本当に素晴らしい人柄で、すごく努力家なんです。確かに(コッパ・イタリアの)重要な場面でサーブミスをしてしまって、とても落ち込んでいた。マジメだから、1本のミスを100本のミスのように受け止めていたけれど、その1本のサーブがすべてを決めるわけじゃない。何より、彼女はいつだって、チームのために力を尽くして、支えてくれる存在でした。だから、そんな1本のミスで彼女の価値が下がるわけじゃないし、その1回のミスよりも、あなたがこれまでしてくれた100回の素晴らしいことのほうがずっと大きい。セナが果たした貢献は1%も減らないよ、という思いを込めて『I LOVE YOU』と伝えたんです」
高校時代から成績も良く、マジメな性格は緻密なセッターというポジションには向いているかもしれない。一方で、それは成長の妨げにもなっていた。
いいプレーをしても、うまくいかなかった結果ばかりに目を向けて落ち込む。マイナス思考の関に向けられた、たった1本のミスですべてが決まるわけじゃない、というメッセージ――勝者のメンタリティと仲間たちが包み込む深い愛情によって、関は変わった。
「相手との駆け引きを楽しむ」
ADVERTISEMENT
その成果をネーションズリーグの舞台でも十分に発揮している。
劣勢を跳ね除けて3ー1で競り勝った12日のポーランド戦では、同じ選手に続けてトスを上げることを苦手としていた関が、相手にデータを取られていることを逆手に取り「勇気を持ってリピートした」と、ブロックに阻まれても石川真佑や島村の攻撃を立て続けに使った。明らかな変化の理由を、関自身が明かす。
「今までのメンタルだと、常に自分に自信がないから、シャットされたら別の攻撃に逃げる。そこも止められたらまた別のところに逃げる。どちらかというと後手に回っていました。でも今は、止められても、やばい、と思わない。ここは止められたけど、次はこうしよう、と考えられるし、いい意味で割り切れるようになった。相手との駆け引きを純粋に楽しめるようになりました」



