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「“10年前”が蘇る美しいトライ」ラグビー日本代表“エディー解任論浮上”も12年ぶりウェールズ撃破「“酷暑”は相手を削ったが、勝因は別にある」  

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/07/07 17:02

「“10年前”が蘇る美しいトライ」ラグビー日本代表“エディー解任論浮上”も12年ぶりウェールズ撃破「“酷暑”は相手を削ったが、勝因は別にある」 <Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

12年ぶりにウェールズを撃破し、試合後にリーチマイケル(36歳)を抱き上げるワーナー・ディアンズ(23歳)

 敵陣22mライン付近のラインアウトから、コーネルセンがキャッチし、ディアンズがボールを受ける。ディアンズは突っ込むと見せかけ、相手を引きつけながら(しかも囮がひとり走りこみつつ)、なんとSHの藤原忍へとパスしたのである! 巨漢ロックの滑らかなパス! ディアンズの突撃を予想していた相手の足は止まった。

 そして藤原は、さらに2人の囮を走りこませる周到なデザインから、SO李承信へパス。李が左斜めに走ると、もうひとつ仕掛けが待っていた。李の背後から、右WTB石田吉平が内側に顔を出したのである。石田にオフロードが通ると、裏に出た。最後はFBの松永拓朗にパス、松永が走り切ってトライを挙げた。

 ディアンズの「タメ」、石田の走りこむ「タイミング」、そして3人の「囮」の角度、すべてがピタリとハマったトライで、私は10年前のW杯、南アフリカ戦でのFB五郎丸歩のトライを思い出した。ラインアウトからのセットプレー、一発でトライを取り切るなど、すべて同じである。

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 日本代表の「机上演習」が、そのままピッチで表現されたときは、本当に美しい。

世界ランク12位浮上「極めて重要な意味を持つ」

 そして逆転に至る後半2つのトライは、アタックとディフェンスの根競べで日本が上回ってのトライがひとつ。

 もうひとつは、トライライン目前でのラインアウトで、腕を伸ばしただけのディアンズにボールを合わせ(リフターを使わないこの小癪なラインアウトのサインに思わず苦笑い)、モールサイドをついてのトライ。バリエーションの違うトライが見られたことも好材料である。

 日本の勝利によって、両国のランキングは日本が12位へと1つ浮上、ウェールズが2つ下げて14位となった。

 実は2年後のW杯に向けて、「12」という数字が極めて重要な意味を持つ。2027年大会からは参加国が20から24へと拡大、プールステージは6つに分かれる。

 今年11月のオータムテストシリーズが終わった時点で12位以上であれば、「階層2」に滑り込むことができるので、組み合わせが有利になる可能性が高くなる。その意味で、この試合の意味は両国にとって大きかった。

【次ページ】 日本に連敗は許されないウェールズ

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