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「“10年前”が蘇る美しいトライ」ラグビー日本代表“エディー解任論浮上”も12年ぶりウェールズ撃破「“酷暑”は相手を削ったが、勝因は別にある」
posted2025/07/07 17:02
12年ぶりにウェールズを撃破し、試合後にリーチマイケル(36歳)を抱き上げるワーナー・ディアンズ(23歳)
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
不穏な空気を打破する勝利だった。ラグビー日本代表は、欧州の雄ウェールズを迎えての2連戦の初戦に24-19で逆転勝利した。ウェールズを相手に奪った白星は、エディー・ジョーンズHC第一次政権だった2013年以来のこと。酷暑の中、難しいゲームを乗り切った要因とは? 【NumberWebレポート全2回の後編/前編も公開中】
ひとつの要因は、暑さだ。
試合前日、ウェールズからやってきたサポーターと北九州空港で話したら、「こりゃ、暑すぎるね。ラグビーの気候じゃないよ」と、タクシー乗り場に座り込んでしまっていた。でしょうね。
試合でも、前半の終わり際から、ウェールズの選手たちが膝に両手を当てる姿が目立ち始めた。時を同じくして、ウェールズの得点が止まった。そして最後の20分にいたっては、足が止まり、日本の逆襲が始まった。
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このガス欠ぶりをみると、極東の酷暑のなかで戦う彼らに同情を禁じ得なかったほどだ。強度の高いアップも、体力を削っていたかもしれない。
“気候”だけじゃない逆転勝ちの要因
日本サイドからすれば、計算通りの逆転勝ち。だが、勝因は高温多湿ばかりではない。
安定したスクラム、ラインアウトが勝利へのプラットフォームになった。明らかに、昨年よりも向上していた。特に、ラインアウトではワーナー・ディアンズ、リーチ マイケル、ジャック・コーネルセンの3人がそろうと、マイボールでは安定、相手ボールでも圧力をかけ続けた。
私が快哉を叫んだのは、前半15分に奪った最初のトライである。ラインアウトを起点としたこのトライは、美しかった。


