「妻のおかげです。子供たちだって…」JリーグMVP・岩田智輝、イングランド3部バーミンガムからの“成り上がり人生”「キャリアが大きく変わる」 

「試合の連続なんで、疲れていたら筋トレしないっていう休む勇気も学べました。でも一番は睡眠、栄養。その部分では妻が最大限にサポートしてくれました。食事はコンディションを考えて毎食と言っていいほど和食をつくってくれました。小さい子供たちの世話もあるのに僕の睡眠時間を優先してくれて。ケガなく1シーズン通してコンディションよくプレーできたのは妻のおかげです」

　手のこんだ料理は2時間ほど掛かるものもあり、愛妻料理と2人の子供たちの笑顔が疲れを吹き飛ばす何よりのエネルギーになった。

3部優勝を決め、妻と2人の子供とともに喜んだ　©︎Getty Images

　バーミンガムは圧倒的な強さで6試合を残してチャンピオンシップ昇格を確定させ、その4日後には2位のレクサムがドローに終わったことで試合のない日に優勝が決定。岩田はリーグ戦38試合にすべてボランチで出場6ゴールを挙げた。

ベストイレブン選出＆MVPノミネート

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「3部から2部に上がることは自分のなかで絶対に成すべき目標として掲げていました。上がるか、上がらないかでこれからのキャリアが大きく変わってくる、と。昇格してホッとしましたし、優勝が決まっても翌日が僕たちの試合だったので“ああ、良かったな”くらいの感覚。優勝してからも歴代最多勝ち点をモチベーションにしていて、それが達成できたこともうれしかったです」

　リーグの年間ベストイレブンに選出され、年間MVPにもノミネートされた。本人は「もっと活躍した選手がいる」と謙遜するも、それほどインパクトがあったということだ。

　岩田が2022年のJリーグMVPを受賞した際のスピーチで「妻であるあなたもMVP」と感謝を述べたことが話題になった。思うように出場機会を得られなかったセルティック時代、愛する家族がいたからこそ踏ん張ることができた。

「家族みんなでグラスゴーに行って、慣れない環境のなかで妻は全力でサポートしてくれる。子供たちだって馴染もうとしてくれている。それなのに自分だけが不甲斐なく感じて。家族にプレーする姿を見せたい、精いっぱいプレーすることで感謝の気持ちをあらわしたい。そういう気持ちが強かったのは間違いありません」

　耐えて、自分と向き合って。

　セルティックでの苦境なくして、バーミンガムでの成功はなかった。

＜続く＞