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「妻のおかげです。子供たちだって…」JリーグMVP・岩田智輝、イングランド3部バーミンガムからの“成り上がり人生”「キャリアが大きく変わる」
posted2025/07/06 11:00
イングランド3部で独走優勝したバーミンガムのボランチとして全38試合出場6ゴールをあげた岩田智輝(28歳)がNumberWebのインタビューに応じた
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
イングランド3部リーグからの成り上がり
「ウサギとカメ」なら、岩田智輝は紛れもなくカメだ。
J3から這い上がって大分トリニータの主力となり、横浜F・マリノス時代の2022年にはJ1制覇の立役者となってリーグMVPを獲得したキャリアを持つ彼ゆえに、成せる業なのかもしれない。
念願だった欧州移籍を果たしたものの、セルティックでは1シーズン半、出場機会に恵まれないまま2024~25年シーズン、イングランド3部バーミンガム・シティに渡る。欠かせないボランチとして1年間フルに働き、チャンピオンシップ(2部)復帰、そして独走優勝を成し遂げて年間ベストイレブンにも選出されるほどの活躍ぶりであった。
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3部からの成り上がりは岩田の真骨頂。雌伏の時期をのっしのっし力強く歩いて、しっかりと己の養分にできるからこそ、それは可能となる――。
2024年8月31日、移籍市場が閉まるギリギリのタイミングでバーミンガムへの完全移籍が発表された。欧州CLに毎度のように出場するスコットランドの名門から、長らくプレミアから遠ざかり、3部に沈むバーミンガムへの移籍は“都落ち”と見られても致し方なかった。クラブ間合意に時間が掛かったものの、岩田本人はオファーを受けたときから前向きだったという。
「試合に出たいというのがまずは一番。3部でプレーすることはまったく気にしていなかったし、トリニータでもそうでしたから。自分の人生なので、どう見られているとかも別に関係ない。ボランチで勝負をしたいと思っているなかで、監督とは事前にオンラインで話をさせてもらって『ボランチで考えている』と。攻撃時はなるべくボールを保持しつつチャンスがあればどんどん前に向かっていくスタイルだと聞いて、自分がやりたいサッカーだし、バーミンガムでやってみたいと思ったんです」
指揮官のクリス・デービスはブレンダン・ロジャーズのセルティック、アンジェ・ポステコグルーのトッテナムでコーチを務めており、彼らの影響を受けるとともにその2人に師事した岩田のことは継続的にマークしていた。岩田自身も戦い方のイメージがしやすく、複数のポジションをこなせるユーティリティープレーヤーとしてではなく、ボランチで試合に出ることができるのであればカテゴリーは二の次であった。
自らのゴールで“これ以上ないスタート”
レクサムとのホームゲーム(9月16日)に初先発した岩田は2-1で迎えた後半14分、左足でゴール右隅に蹴り込むミドルレンジからのシュートで挨拶代わりのゴールを決める。促されるようにスペースに出されたボールを受け取り、力みもまったくなかった。サポーターで埋め尽くされたスタンドが揺れた。
「あのゴールは自分にとって大きなものになりました。チームメイトにも、サポーターにも早く認められることになったので」

