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大相撲PRESSBACK NUMBER
あの「電撃引退」逸ノ城もいまアメリカに?…なぜ引退力士は海を渡るのか 海外興行参加の元力士実業家が感じた「SUMOと相撲」の“決定的な差”
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別府響Hibiki Beppu
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2025/07/02 17:01
元関脇の逸ノ城。2014年にデビュー後、わずか5場所での新関脇というスピード出世だった。そんな“ザンバラ髪”の怪物も現在、アメリカで俳優に
世界中で大ヒットを巻き起こしたNetflix発のドラマ『サンクチュアリ』に出演した静内こと住洋樹は元十両の飛翔富士だが、現在はアメリカを軸に芸能活動を行っている。同じく元関脇の逸ノ城も現在は「ICHI」としてアメリカで俳優業に従事中だ。
相撲の「変えてはいけない」部分もある
一方で、田代さんは彼らが活躍できるのは「土俵を経験した『本物』だからこそ」と考えている。
「立ち合いだって普通の太った人がぶつかるのとはワケが違う。そこはやっぱり鍛えられた力士同士だからこその迫力があるし、俳優としての演技だってそういうベースがあるから成り立っていると思うんですよね。だからこそ、僕ら元力士が“正しい相撲”を世界に広げていきたいとは思っています。
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もちろん海外に出ていくことで相撲が“SUMO”になっていくのはある程度、仕方ない部分がある。でも、本来の相撲からあまりにかけ離れてしまうのは悲しさもあります。会場の演出とかの変わっていい部分と、『ここは変えてはいけないよね』という部分をしっかり見極めながら広がっていくと良いなと。今回の白鵬のプロジェクトも、そういうきっかけのひとつになればと思います」
厳粛な雰囲気を持つ日本の伝統競技である相撲と、華やかで煌びやかな海外のSUMO。その双方が互いに盛り上がることで相乗効果をもたらすことができれば、「それが最も相撲界全体のメリットになる」と田代さんは言う。
果たして今回の白鵬の「SUMOグランドスラム」構想は、どんな道へと向かっていくのだろうか?

