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「もう勝てないかもしれない」元大関も脱帽…“史上最速昇進”新横綱・大の里の“本当のスゴさ” 指導者が語った「同じ相手に2度負けない」ワケは?
posted2025/06/18 11:01

史上最速のスピードで第75代横綱に昇進した大の里。その類稀な運動能力はもちろんのこと、かつての指導者が語った凄さは他にもあるという
text by

宝田将志Shoji Takarada
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
大相撲夏場所14日目、取組を終えて支度部屋に引き揚げてきた小結高安を記者たちが囲んだ。
いつものように取組についての問答が繰り返された後、質問の内容は、前日に早々と2場所連続優勝を決めた大の里に及んだ。歴戦の元大関はそれまでと同じように淡々と答える。
元大関が脱帽…「もう勝てないかも」
「先場所も強かったですけど、今場所はより強い相撲を見せている。もう勝てないかもしれない。それくらい強いですね」
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高安は怪我などでは絶対に弱音を吐かない。だからこそ入門わずか2年の若者を認める言葉は重かった。
2人の関係を少し補足すると、高安は大の里の“叔父”にあたる。高安の兄弟子が元横綱稀勢の里の二所ノ関親方で、その弟子が大の里だ。大の里が二所ノ関部屋に入門する際、背中を押した経緯もある。“甥っ子”の急成長を肌で感じて素直に称えたくなったのだと推察する。
この「もう勝てないかも」発言には前段があった。
その前の春場所10日目、高安は大の里と1敗同士で優勝争いのトップに並んでいた。過去の対戦成績は高安の2勝0敗。大の里との直接対決を前にした朝、「どんどん進化していると思いますね。今のうちに勝っておかないと、勝てなくなっちゃうから」と話していたのだ。