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大相撲PRESSBACK NUMBER
あの「電撃引退」逸ノ城もいまアメリカに?…なぜ引退力士は海を渡るのか 海外興行参加の元力士実業家が感じた「SUMOと相撲」の“決定的な差”
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別府響Hibiki Beppu
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2025/07/02 17:01
元関脇の逸ノ城。2014年にデビュー後、わずか5場所での新関脇というスピード出世だった。そんな“ザンバラ髪”の怪物も現在、アメリカで俳優に
この6月、元横綱白鵬の前宮城野親方が相撲協会からの退職を発表した。今後は世界を舞台に相撲を広げる活動を行っていくという。
そんな白鵬の話を聞いていて、田代さんの脳裏に浮かんだのは、海外での興行で感じた日本との違いだったという。
「いい悪いはともかくとして、日本での力士というのは侍と一緒ですよね。だから土俵上では笑顔も出さない。静かに入ってきて、礼をして、最後まで勝ってもガッツポーズもしない。ポーカーフェイスで帰っていく。それが相撲です。
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でもアメリカや海外の国でいろいろなエンターテイメントとしての“SUMO”を経験すると、もう勝った瞬間にガッツポーズして、お客さんも一緒にガッツポーズして、めちゃめちゃ拍手されるわけです」
「華やかな世界に」…そう思う力士もいる?
同じスモウなのに、こうも違うのか――。田代さんは率直にそう思ったという。
「確かにこれを体感すると、中には『これまでの苦しい稽古はなんだったんだろう。お金とかだけじゃなくて、あっちの華やかな社会に行きたいな』となる力士がいてもおかしくはないとも思うんですよね」
そしてそれは、いわゆる競技としての相撲だけの話ではない。
海外では力士というアイコン自体が非常に強い意味を持つ。アジアのひとつの国ではなく、「日本のイメージ」の象徴としての力があるからだ。
それが大きな意味を持つのがエンターテイメントの世界である。

