プロ野球PRESSBACK NUMBER

「1日350杯売った」東京ドーム“伝説のビール売り子”が巨人チアの人気メンバーに…「オーディション落選なら無職でした」熱烈Gファンの“華麗なる転身” 

text by

曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

PROFILE

photograph byMiki Fukano

posted2025/06/26 11:17

「1日350杯売った」東京ドーム“伝説のビール売り子”が巨人チアの人気メンバーに…「オーディション落選なら無職でした」熱烈Gファンの“華麗なる転身”<Number Web> photograph by Miki Fukano

巨人の公式マスコットガール「VENUS」の大倉かりんさん

「1日最高350杯」売れっ子のお給料は…

――ちなみに1試合の最高売上は何杯くらいなんでしょうか。

大倉 350杯です。

――仮に1試合180分として、1分間に約2杯! すごい記録ですね。それだけ売れたら、球場全体でもトップですよね?

ADVERTISEMENT

大倉 だいたい平均が200杯前後なので、そのときはトップでしたね。毎日、売上杯数が出て全員見られるんですよ。同じ売り場にいる他の会社の人にも、違うエリアの同期にも、絶対に負けたくなくて。メンタル安定のための日記までつけてましたね(笑)。「今日は○○戦で何杯売れた」とか、働いていて気付いたこととか、悔しかったこととか……。

――プロフェッショナルだ……。たくさん売るためのコツって、具体的にどんなものがあるんでしょうか。

大倉 私が主に担当していたのは一塁のベンチ上あたりで、シーズンシートのお客様がたくさんいるエリアなんです。あとは会社のチケットで来られているサラリーマンの方。そういう場所では「どうですか!」って声を張るよりも、穏やかに「ビール、いかがですか?」と声をかけるのが効果的でした。あとこれは鉄則なんですけど、2杯目以降の「おかわり」は絶対に取りにいく。売れるようになると担当エリアが固定されるので、だんだん顔見知りのお客様が増えていって、「この人は泡少なめだったな」とか覚えていくんです。

――常連さんの好みまで把握されていたんですね。生々しい話なんですが、お給料もよかったのでは?

大倉 そうですね。歩合制なので、4年目の夏のお給料は新卒のときよりも高かったです(笑)。

子どもの頃からG党!「応援していた選手は…」

――ジャイアンツファンが高じてビール売り子になり、さらにヴィーナスへと転身される大倉さんですが、ファンとして特に印象的だった試合はありますか?

大倉 鮮明に覚えているのは、チアダンスの大会の練習中に見た楽天さんとの日本シリーズ(2013年)。第7戦で、最後に田中将大投手に抑えられて負けちゃって……。練習中に号泣しちゃいました。あの日のことは忘れられませんね。

――その田中投手がいま、ジャイアンツの一員になっていると思うとドラマチックですね。仕事として関わる前に憧れた選手はいたんでしょうか。

大倉 亀井善行コーチをずっと応援していました。引退セレモニーも見に行って、とっても泣きました……。ちょうど売り子も卒業して、ヴィーナスになる前の時期だったので、本当にただのファンとして(笑)。

――プロ12球団の本拠地のうち、エスコンフィールドHOKKAIDO以外の11球場は観戦済だそうですね。言ってしまえば、ヴィーナスとしても売り子としても球場が職場なわけですが、「いつも仕事で行ってるからいいや」と飽きたりしないものですか。

大倉 全っ然、飽きないです! やっぱり仕事をしていたら試合開始から終了まで通しで見られないので。球場でご飯を食べたり、応援歌を歌ったり、現地観戦の雰囲気が好きなんです。ヴィーナスになる前は、基本的に外野席で見ることが多かったですね。

【次ページ】 「落ちていたら無職…」営業職を辞めてオーディションに

BACK 1 2 3 4 NEXT
#読売ジャイアンツ
#チームヴィーナス
#VENUS
#阿部慎之助
#亀井善行

プロ野球の前後の記事

ページトップ