プロ野球PRESSBACK NUMBER

「1日350杯売った」東京ドーム“伝説のビール売り子”が巨人チアの人気メンバーに…「オーディション落選なら無職でした」熱烈Gファンの“華麗なる転身” 

text by

曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

PROFILE

photograph byMiki Fukano

posted2025/06/26 11:17

「1日350杯売った」東京ドーム“伝説のビール売り子”が巨人チアの人気メンバーに…「オーディション落選なら無職でした」熱烈Gファンの“華麗なる転身”<Number Web> photograph by Miki Fukano

巨人の公式マスコットガール「VENUS」の大倉かりんさん

営業職を辞め「一か八かで」ヴィーナスに

――ヴィーナスになるまでの経緯も教えていただければ。子どものころからダンスを習っていたんですよね。

大倉 小学生のころからジャズダンスとチアダンスを同じチームで、高校卒業までやっていました。大学生になってからは売り子のほうに真剣になってしまったんですけど、ダンスはずっと続けていて。ただ、大学卒業後は普通に地元の会社に就職しました。

――野球やダンスとは関係のない仕事ですか?

ADVERTISEMENT

大倉 わりと堅実な営業職でした。副業禁止だったので趣味という形ではあるんですけど、休みの日にフットサルチームのチアをやっていて。職場の同僚も見に来てくれたりして、そこで「人前で踊るのはすごく楽しいな。これを仕事にしたいな」って思ったんです。やっぱり好きなこと、いましかできないことに挑戦したいなって。会社には申し訳ないんですけど「12月で辞めます」と伝えて、ヴィーナスのオーディションを受けました。

――えっ、受かる前に辞めると伝えていたんですか? もし落ちていたら無職……。

大倉 はい(笑)。落ちたらもう一度、転職活動するしかない。一か八か、ですね。

――安定した仕事を辞めてまで、ヴィーナスに懸けていたと。他のチームのオーディションは受けなかったんでしょうか?

大倉 ヴィーナスしか考えられなかったですね。オーディションでも「ここしか受けてません! ジャイアンツしか応援できません!」と伝えました(笑)。

――カッコいい! 合格したときの喜びもひとしおだったのでは?

大倉 もちろん嬉しかったんですけど、ちょっと想像できないっていうか……。急に夢が現実になって、ひたすら緊張、緊張でしたね。

「お風呂に入って寝るだけ…」ハードな日常

 ヴィーナスのオーディションは“狭き門”として知られている。2024年の場合、550人を超える応募があり、書類審査で200人、二次審査で100人ほどに絞られ、最終審査に残ったのは約50人。実際に合格したのは10人だった。一方でダンス歴は問われず、4月1日を迎えた時点で18歳以上であれば誰でも応募できるため、門戸は広く開かれている。

――実際にヴィーナスに入ってみて、想像と違った部分はありましたか?

大倉 チームとしての規律があって、先輩・後輩の関係性や礼儀もすごくしっかりしていたことに驚きました。あと、想像よりもずっとハードでしたね。特に試合中はずっと気を張っていて、待機して、出ていって、パフォーマンスをして……。練習もずっと続くので、売り子とはまた違う体力を求められました。6連戦やナイターの翌日のデーゲームはやっぱり大変で、他のことはまったくできないです。家に帰って、お風呂入って、翌日の準備をして寝るだけ、みたいな。

――ヴィーナスに入ったことで、大好きなジャイアンツという球団との距離感に変化は生まれましたか?

大倉 応援の仕方は変わったかもしれません。球団と選手に向けていた感情が、お客様にも向くようになったというか、お客様と一緒に喜ぶことを大切にするようになりました。ただ、ジャイアンツ愛はまったくブレてません(笑)。スタッフの皆さんの情熱だったり、朝早くから練習に出てくる選手の方の努力だったり、今までわからなかった部分も見えてきて、より応援したいなって思うようになりました。

【次ページ】 大感動の優勝→CS敗退にみんなで号泣

BACK 1 2 3 4 NEXT
#読売ジャイアンツ
#チームヴィーナス
#VENUS
#阿部慎之助
#亀井善行

プロ野球の前後の記事

ページトップ