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マリノス移籍寸前、号泣サポーターが直談判「アマラオは必要なんだ!」で涙の急転残留…愛されブラジル人FWが明かす“FC東京ウラ話” 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byYokohama FC

posted2025/06/27 17:02

マリノス移籍寸前、号泣サポーターが直談判「アマラオは必要なんだ!」で涙の急転残留…愛されブラジル人FWが明かす“FC東京ウラ話”<Number Web> photograph by Yokohama FC

長年にわたって日本に住み続ける名FWアマラオ。古巣・FC東京への愛を語った

「サポーター数人が宿舎を訪ねてきて、『アマラオは絶対にチームに必要なんだ』と号泣しながら慰留してくれた。僕も感情が高ぶって、泣きながら応対した。翌日の試合では、延長までもつれ込んだ試合の間中ずっと、サポーターが僕の名前を叫び続けた。彼らの熱意にほだされて、僕は翻意した。マリノスに断りの連絡を入れ、FC東京との契約を延長した」

――そんなことがあったとは。残留を決めた2001年以降も、コンスタントに得点を記録して貢献します。ただし、チーム成績は2003年の4位が最高。この年を最後に、FC東京を退団します。

「心残りなのは、Jリーグで優勝できなかったこと。でも、僕はベストを尽くした。このことは、胸を張って言える。2008年5月、サポーターからの強い要望があって引退試合を企画してもらった際は、本当に感激した。今でも、サポーターの応援歌やチャントを思い出すと胸が熱くなる。彼らには、心から感謝している」

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――優勝するために、何が足りなかったと思いますか?

「まだJ1に上がってから時間が短く、選手育成能力、強化部門などクラブとしての総合的な力が他クラブとは少し差があったかもしれない。ほんのわずかな差だったと思うんだけどね」

迫る古巣・味スタでのFC東京戦については…

――J1では101試合49得点。一方でJ2やJFLなどすべての公式戦を合わせると、17年間で383試合202得点。自分では、この数字をどう思いますか?

「我ながら長い間、よくやってきたと思う。でも、僕は自分のためにプレーしたことは一度もない。常にチームの勝利のためにプレーしてきた。そのことが、最大の誇りだ」

――日本で大きな成功を収めた理由を、自分ではどう思いますか?

「常に謙虚な姿勢で、チームのために懸命にプレーしたこと。これに尽きる。そのことで、監督やコーチ、チームメイト、クラブのスタッフ、サポーターらすべての人から信頼を勝ち得たと思うんだ」

――あなたはCFでありながら、守備にも奔走した。

「それは、日本では常に求められること。それに、僕は元々CBだから、守備に汗を流すのは苦痛ではなかった(笑)」

 こう語るアマラオは現在、横浜FCのストライカーコーチを務めている。6月28日に控える味の素スタジアムでの一戦について聞くと、こんな風に話した。

「思い出がいっぱい詰まった愛着のあるスタジアムだけど……」

つづく

#3に続く
「妻との死別」を乗り越えて…なぜ名ブラジル人FWは33年も日本に住み続けるのか「それが私の生き甲斐だ」現横浜FCコーチのアマラオが激白
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