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「思わず鳥肌が立った。次は優勝だ」F1の最年少記録を次々と更新する18歳の現役高校生、アンドレア・キミ・アントネッリの類まれなる才能
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尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2025/06/19 11:03
カナダGPで3位表彰台に立った18歳のアントネッリ
そしてカナダGPでは、18歳294日でついに表彰台に立った。これはフェルスタッペンがレッドブルに移籍した直後に初優勝・初表彰台を獲得した16年のスペインGPでの18歳228日、当時ウィリアムズにいたランス・ストロールがデビューイヤーの17年のアゼルバイジャンGPで3位となった18歳239日に次いで、歴代3番目の若さだった。
「F1の表彰台は想像していたより、ずっと感動的だった。表彰台に向かう途中、コース上を埋め尽くしたファンからの声援には思わず鳥肌が立ったよ。一生忘れることができない瞬間だった。そして、考えたんだ。『次は優勝だ』って」
王者も認める才能
カナダGPで2位となったフェルスタッペンは、アントネッリにとって、特別な存在だった。
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「マックスがF1でこれまで成し遂げてきた栄光、特にルーキー時代に見せた成績は驚異的だった。彼は僕にとって、あこがれの存在」
そのフェルスタッペンも、アントネッリのF1初表彰台を次のように称えた。
「キミのことは、カート時代から注目されていたのでよく知っていた。だから、F1にデビューした今年、彼が表彰台に立つことは時間の問題だと思っていた。僕が気に入っているのは、彼の冷静で落ち着いたアプローチだ。それは資質であり、F1で成功するために絶対に必要な才能だ。これからキミが活躍する姿をもっと見られるだろう」
母国イタリアで開催された5月のエミリア・ロマーニャGPで、アントネッリは同じ高校に通う同級生たちをサーキットへ招待していた。
「あれは僕が企画したんだ。僕は普段あまり学校へ通うことができなかったので、友だちと卒業前にいい思い出を作りたかったんだ」
カナダGPを終え、6月末に高校を卒業するアントネッリ。卒業試験で会うであろう友人たちとは、高校生最後の一戦となったカナダGPの話題で盛り上がることだろう。

