「素質なら長嶋茂雄以上」は本当…？ 当時のヤクルト「メジャーでやれたのは一茂だけ」《ドラ1指名》元スカウト部長が語った長嶋一茂“リアル評” 

　中日新聞社からの「出向社員」ということで、ドラゴンズに入団したそうだ。

「大洋からも、おんなじような話、あったけどな。野球があかんかったら鯨捕りっちゅうのんは、かなわんさかいにな」

　自分で「うまいこと言ったな」と思った時は、ニッと笑うことはあったが、アハハと声をあげて笑ったりはしない人だった。

ADVERTISEMENT

　笑っても、鼻先でフン……ぐらい。斜に構えたところがあって、かっこつけたところもあって、先輩の記者から「毒舌だから気をつけろよ」とよく心配してもらった。だが、毒舌というよりは、ありのままをその通り表現する方だったので、「言葉のウラ」とかそういう面倒くさいことに神経を使わなくて済む分、私には有難かった。

敏腕スカウト部長の一茂評価とは

　さて、そんな辣腕スカウトが1987年に1位指名で選んだのが、「ミスタープロ野球」かつ大学の先輩でもある長嶋茂雄の息子・一茂だった。

立教大時代の長嶋一茂。特に4年時は好成績を残し、1987年のドラフトでヤクルトと大洋から1位指名を受けた　©AFLO

　“伝説”の愛息だけに、世間では賛否両論、愛憎入り混じった評価が渦巻いていた当時だ。敏腕スカウト部長は、自軍の「ドラ1候補」をどんな風に評していたのか。

「一茂はなぁ……試合前のフリーバッティングだけで金取れるヤツやったで」

　果たしてその言葉の持つ意味とは、一体どういうことだったのか。

＜次回へつづく＞