中谷潤人の「狂気じみた、戦士的な一面が見えた」同門の元世界王者・伊藤雅雪が戦慄した“作戦遂行能力”「ダーティー気味なこともマシンのように…」 

次はカルデナス戦も面白い

「陣営としては2試合くらいはさみたいでしょうが、もう待ったなしの状況です。調整は1試合のみになるはず。僕が面白いマッチメークだと思うのは、井上尚弥に善戦したラモン・カルデナス（米国）。オープン戦（ノンタイトル）の10回戦でセットすれば、十分に成立しそうです。中谷陣営はその名前を出すと、『余裕で倒すよ』と言っていましたけどね。カルデナスが井上戦と同じようなモチベーションで臨めるなら、いい指標になると思います」

　そして、いよいよ待ち望まれる夢のカードが実現すれば、勝敗の行方はどうなるのか。今年2月、中谷の防衛戦後にNumberWebのインタビューで伊藤に予想を聞いたときは、7対3〜6対4で井上の優勢、との回答だった。あらためて、いまの考えを聞くと、ふと口元を緩めた。

「うーん、6.5対3.5から6対4で井上尚弥かな。潤人はスペシャルですけど、まだ5対5ではない。総合的に見ると、スピードとパンチ精度で勝る井上が優位。タイミングよくジャストミートさせるのが抜群にうまいので。

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　それに井上は中谷戦になると、120％の力で臨むと思います。それこそ、日本中が注目していますからね。最近の試合でダウンしているのは、行き過ぎているときです。中谷に対しては、よりリスペクトを持って臨むと思うので、カウンターにも最大限の警戒を払うはず。お互い、慎重に入ると思います。中谷も今回のような入りはしませんよ。でも、どこかで打ち合いになります。そこでパンチが交差したときに先に大きな一発を当てて、倒しそうなのは井上かなと」

この日の戦いをリング下で見守った井上尚弥との決戦の展開は…　©Hiroaki Finito Yamaguchi

パワーでは中谷が優位

　無論、中谷の勝利が想像できないわけではない。元同門の後輩が井上をキャンバスに沈めているイメージも膨らむ。近い距離で低い体勢から放つ右フックのカウンターは「最近、神がかっている」と絶賛しており、井上の顔面を捉える可能性はある。

「パワーは中谷のほうがあると思うんです。変則型のパンチなので、井上が慣れないうちに一発入れば、勝負は分からない」

　統一戦後、ますますドリームマッチの機運が高まるなか、伊藤は有明でベルトを失った西田の奮闘も冷静に称えていた。

〈全2回の1回目／西田編を読む〉