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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「一般的には良くない。でも…」西田凌佑をねじ伏せた中谷潤人“常識破りのパンチ”とは?「顔が腫れるんです」元スパーリングパートナーが語る衝撃体験
posted2025/06/12 11:30

中谷潤人と西田凌佑による壮絶な王座統一戦を、黒田雅之氏が解説する(第1回)
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
◆◆◆
――Xに「凄い試合だった…」と投稿していましたね。
「思っていた展開と違うというか、1ラウンド目からあそこまでお互いに全開で行くと思っていなかった。言ってしまえば、それがもう最後まで続いたような試合でした」
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――中谷選手が1ラウンドから距離を潰して荒々しいほど強烈なパンチを打ち込んでいきました。
「リスクもあるし、でも本当にすごい。結果的にあれがハマったのかなと。中谷選手は長い距離からリードブローを突いていくイメージがあったのですが。王座統一戦なので自分のほうがチャンピオンなんだよ、という気持ちをお互いから感じました」
中谷は序盤から左右の強打を振り回し、試合は一気にヒートアップ。アッパーの3連発や左のオーバーハンドを西田のガードの上から浴びせ、3ラウンドに西田が右肩を脱臼。その上から構わずパンチを打ち込んだ。
――それに対して、西田選手も対応していましたよね。
「最初からガンガン来るのか、様子見か、どちらかを想定しているはずです。でも、中谷選手があそこまでフルスロットルで来ると思わなかったのではないでしょうか。西田選手の想定を超えていたのかなと。とはいえ、西田選手は脇を締めてガードを固めて、内側からパンチを打つ。ファンを沸かせるという意味でも、やっぱり二人ともチャンピオンらしい闘いでした」
――勝敗を分けたキーポイントは。
「中谷選手がとにかく力でねじ伏せる。西田選手は丁寧にブロックして、内側からパンチを放つ。お互いの作戦のぶつけ合いであり、我慢比べ。どちらが最後まで自分のやりたいことを貫くか。なので、試合のカギというよりも、作戦の消耗戦というか、我慢比べのイメージが強かったです」
「一般的にはあまり良くない。でも…」
西田はバッティングなどで右目を腫らし、6ラウンド終了時に右肩の脱臼で棄権。試合後、中谷はインタビューで「目の腫れだったり、腕だったりを本当に潰していくイメージで打っていた」と明かした。
――結果的に、中谷選手が押し切りました。
「インタビューを聞くと、肩を狙っていたと。例えば、体のどこか一カ所にパンチを当てて、ガードを崩して……というのはありますけど、肩にダメージを与えるというのは聞いたことがない。確かに、見て思ったのは、中谷選手はガードの上からでも『押しつけるようなパンチ』だったんです。元からそういう打ち方なんですけど、あれは肩とか体に当たっても衝撃があるんです」
――押しつけるパンチと言いますと?