- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
中谷潤人に大善戦・西田凌佑は「仮に井上尚弥と戦っても、なかなか倒されないはず」元王者・伊藤雅雪はプロモーター目線で「また西田を見たい」
posted2025/06/12 17:03

得意のアウトボクシングではなく接近戦を選び、堅いガードで中谷潤人と熱戦を繰り広げた西田凌佑。元王者・伊藤雅雪は西田の戦いを高く評価した
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Naoki Fukuda
6月8日、有明コロシアムでWBC&IBF世界バンタム級王座統一戦に臨んだ西田凌佑。中谷潤人にベルトを奪われ、敗者としてリングを降りたが、会場からは惜しみない拍手が送られた。ボクシングファンの心をつかんだ熱戦の裏側には、西田なりの作戦があった。昨年12月の防衛戦も大阪のリングサイドで観戦していた元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪が解説する。〈全2回の2回目/中谷編を読む〉
予想どおりである。開始のゴングから中谷潤人が積極的に前へ出て戦うことは想定外だったが、伊藤は西田陣営が選んだ作戦には驚かなかった。今年2月、中谷戦の話が持ち上がったばかりの頃にNumberWebのインタビューでこう話していた。
「ハートのある西田は前に出ていける。打ち合いになる可能性もある」
西田は近い距離も巧みだった
アマ出身のアウトボクサーとして鳴らし、一定の距離を保ちながら戦うスタイルに定評はあるが、それとは異なる一面を高く評価していた。
ADVERTISEMENT
「昨年12月の試合でも、要所で見せていたんです。西田は近い距離でもうまかった。自分本来のボクシングではないかもしれませんけど」
中谷潤人との統一戦で接近戦に勝機を見いだしたのも、深くうなずけるという。むしろ、勝つ可能性を少しでも高めるための賢明な選択に思えた。ロングレンジで戦えば、相手のほうが一枚も二枚も上手。出入りのスピードを考えても、中谷にパンチが当たるイメージはできなかった。
今回の戦い方は理にかなっている
「アウトボクシングをしたときの実力差を考えると、今回の戦い方は理にかなっていると思いました。実際、西田の距離は絶妙だった。中間距離から一歩入ったところで、ガードしながら左のボディブローをよく返していた。
特に3ラウンド、4ラウンドは潤人が大振りになったあと、左ストレート、右フックをうまく当てた。接近戦の細かい技術は高いです。中谷陣営はもっと早くに終わると思っていたようですが、そうはいきませんでした」