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ボクシングPRESSBACK NUMBER
中谷潤人の「狂気じみた、戦士的な一面が見えた」同門の元世界王者・伊藤雅雪が戦慄した“作戦遂行能力”「ダーティー気味なこともマシンのように…」
posted2025/06/12 17:02

同じルディ・エルナンデスの指導を受けた元王者・伊藤雅雪が西田戦で見た、「本当の潤人」とはいったい?
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Takuya Sugiyama
関係者らが座るリングサイドで見守っていた元世界王者の伊藤雅雪は、拳を交えながら笑みを浮かべる中谷潤人に戦慄を覚えた。現在はプロ31戦目の27歳。同じルディ門下生として、15歳の頃から師の教えを忠実に守り、ボクシングだけに打ち込む姿を見てきた。統一戦では、成熟してきた男の内に潜むものが垣間見えたという。
潤人には狂気じみた、戦士的な一面がある
「潤人は(陣営から)殴れと言われれば、ずっと相手を殴り続けられるメンタルを持っていると思います。片腕になっても、戦い続けるような怖さがある。
統一戦のリングでは、狂気じみたものを感じました。普段はニコニコして柔らかい雰囲気を漂わせていますけど、スイッチが入ると潤人であって、潤人ではなくなる。戦士的な一面があります。あれが、本当の潤人なのかなって」
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開始のゴングとともにぐいぐいプレスをかけにいく戦い方には驚かされた。長いリーチを生かし、一定の距離から組み立てていく普段のスタイルとは一転。相手に襲いかかるように力強いパンチを浴びせ続けたのだ。現在はトレジャーボクシングプロモーションの代表としてプロモーターの顔を持つ伊藤は、有明コロシアムの沸き上がりを肌で感じ、静かにうなずいた。
「普通の試合」では許されない一戦
「潤人はこの一戦の意味を分かっているな、と思いました。統一戦の先にスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥が待っている状況。普通の試合では、ダメなんです。いま選手として、何を求められているかをよく理解している」
中谷本人は試合後、序盤から西田にダメージを与えると同時に、相手を驚かせる狙いもあったことを明かしている。いま思えば、奇襲攻撃の伏線はあった。試合前に伊藤は中谷陣営から、接近戦に大きな自信を持っていることを聞いていた。