長嶋茂雄から1本の電話「一茂のこと、頼んだよ」…ヤクルト“長嶋一茂・ドラ1指名”ウラ話　元スカウト部長は「正直『うわー、困ったなぁ』って…」 

　さて、大洋との2球団1位競合となった抽選は、当時「引きの相馬」ともいわれていた強運・相馬和夫球団社長が「当たり」を引っ張ってきて、片岡さんの「心配」は、ドンピシャで当たりとなった。

「『外れろ～、外れろ～』って念じながら見とったで。テーブルでな、会場の……。1位当てて会場で頭抱えたの、オレだけやろな、ドラフト史上で。ああ……外れたら、野田やった」

長嶋茂雄から電話「一茂のこと、頼んだよ」

　では「お膝元」の読売ジャイアンツの出方はどうだったのか。

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「ドラフトの何日か前に、長嶋さんから電話があってな。『一茂のこと、片岡に頼んだよ』って。その時点でジャイアンツには断られたんやろな。そらそやろ……そこまで度胸ないわ、あそこ」

　レギュラーにでもなってくれたらよい。だが、万が一の場合、ジャイアンツの手で長嶋さんの顔に泥を塗るわけにはいかない。「汚れ役」は他に回そう。そんな思惑があったであろうことは想像に難くない。

　そんな顛末を知ってか知らずか、立教大・長嶋一茂選手はヤクルトに進んだ。

　ちなみに、片岡さんが一茂選手の「繰り上げ1位」に念じていた九州産交・野田浩司投手は、川島堅投手（東亜学園）の繰り上げ1位として阪神タイガースに進むことになった。

　そして、そのドラフトから今年で38年が経つ。

　野球選手・長嶋一茂――ヤクルト・巨人での在籍9年間で、384試合に出場して打率.210、18本塁打。それが「大成」だったのか、それとも片岡さんが心配していた通りの「結果」だったのか。それは、それこそ「諸説あり」なのだろう。

　一方で、引退後は主に芸能の世界で、およそ30年。

　朝となく夜となく、画面ではすっかりおなじみの「顔」となって、今日も何かの番組で父を偲んで「贈る言葉」を話されていた。

　来年は還暦と聞いて、ちょっと驚いた。

　もしかしたら、今こそみんなが予測しきれなかった「大成」の時なのかもしれない。

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