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“9番ショート倉本寿彦”“パットン先発” 「奇策」の真実をラミレスDeNA前監督が語る「全てデータが裏付け」「もう一度やるとしてもパットンで」 

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/06/10 11:01

“9番ショート倉本寿彦”“パットン先発” 「奇策」の真実をラミレスDeNA前監督が語る「全てデータが裏付け」「もう一度やるとしてもパットンで」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

監督時代には数々の「奇策」を見せたラミレス。その真意を詳細に語った

「基本はヤスです。それでも、好調の時でも不調の時でもデータは見ています。たとえばマツダの広島戦はめっちゃ数字がいいので安心して投げてもらいますけど、横浜スタジアムだと良くなかったんです。

 それに彼は対左打者が1割9分と強く、右だと3割5分ほど打たれていた。次のラインナップを見て、投手からなら代打で左が来るので抑える確率が上がる。一方、右・右・右の並びだったら、もう危ない。クローザーであってもブルペンに準備させるし、1人でもランナーが出たら用意を加速させてね。

 それは他の選手を起用する時も同じです。データに加え、選手の特性を考えます。例えば、柴田竜拓のような選手。彼は非常にいい選手ですが、性格や特性を考えると、スタメンよりも、7回、9回の勝っている時に守備固めで使う方が、チームにとって活きた。

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 一方でショートのレギュラーは倉本寿彦。彼は守備範囲こそ広くはないけど、打力がある。3打席立って2本ヒットを打って2打点ならば大活躍。チームが勝っていれば7回から柴田を入れられる。でも逆に柴田先発で7回から倉本はできないでしょう。そういうベースとなる要素にデータを加味して読み、選手を選んでいきました」

ラミレス野球の目玉・倉本寿彦

 倉本寿彦の名が出た。彼こそ、ラミレス野球の印象が深い選手である。

 当時の倉本は12球団のショートで守備範囲の指標UZRがワーストというデータがあり、守備範囲の狭さが度々指摘されていたが、ラミレスは「守備範囲よりも、確実にアウトを取れること」つまり“打球が飛んだ時点で相手に絶望を与える守備”を優先し、2016年は141試合、2017年は日本シリーズまで含めフルイニング出場と重用している。

【次ページ】 エビデンスのある“奇策”

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