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“9番ショート倉本寿彦”“パットン先発” 「奇策」の真実をラミレスDeNA前監督が語る「全てデータが裏付け」「もう一度やるとしてもパットンで」
text by

村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/06/10 11:01
監督時代には数々の「奇策」を見せたラミレス。その真意を詳細に語った
「奇策でも、スタンダードな戦略でも、結果が出ないとやっぱり批判は絶対にくるものです。でも僕はあんまり気にしない。自分の信念に従って、決断に対して後悔をしない。その決断に対して批判をされたら、カントクは責任を取るだけです。
ただね……パットンに関しては何度も言いますけど、二軍にもピッチャーがいなかった。リリーフで東京ドームの巨人戦で一番数字がいいのは誰かと言えば、パットンなんです。それを知っている人は少ないと思います。『なぜあんなところで奇策を打ったのか?』って? いや、奇策ではなく、それしかなかったんです。もしも、時間をもう一度あの日に戻せたとしても、僕はもう1回パットンを先発に使います。パットンで」
それでも采配に疑いの余地はない
パットンなのである。
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「これしかない」と確信を持った采配でも、ラミレスがタクトを揮えば奇策に見えてしまうという、魔術師ならではの苦悩もあるのだろう。奇策は成功すれば賞賛され、失敗すれば独断と謗られるハイリスクハイリターンな戦術である。しかしラミレスは今でも、自身の行ってきた采配に疑いの余地はないと言い切る。
「例えば10個の奇策の決断をしたとして、7回うまくいくとするじゃないですか。これ7割ってすごい数字、大成功ですよね。僕はそれでいいと思うんですよ。残りの3割の失敗、ここに注目は集まるし、批判はあるかもしれないですけど、7割成功したっていうのは、僕はここを誇りたいのです」
〈つづく〉

