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“9番ショート倉本寿彦”“パットン先発” 「奇策」の真実をラミレスDeNA前監督が語る「全てデータが裏付け」「もう一度やるとしてもパットンで」
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村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/06/10 11:01
監督時代には数々の「奇策」を見せたラミレス。その真意を詳細に語った
“パットン先発”の真実
それは2020年9月3日東京ドームでのこと。13連戦の3試合目は、8.5ゲーム差の首位巨人に2連敗で迎えた大事な3戦目だった。この試合の先発にラミレスはセットアッパーのパットンを起用。1回1/3で9失点と大炎上し、評論家からも「完全に失敗」「奇策に溺れる」「ファンの心を折った」と総スカンを受け、その年4位に終わるDeNAの象徴的な敗戦となった。
「あの時は投手陣にケガ人が続出して、この試合の先発数が足りなかったこと。そして、パットンが東京ドームで抜群の成績を残していたことから、彼をオープナーで使うことを決めました。2週間前に計画して、パットンにも聞いたら『全然大丈夫。是非行かせてくれ』という。他にピッチャーがいないから選択肢もないしね。
最終登板を3日前にして、調整も万全にして投げさせたんですけど、まさかあんなにメッタ打ちにされるとは想定していませんでした。2、3人に続けて打たれた時に、パットンを見たら『もう代えてくれ! 無理だ!』みたいな顔をしている。
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『代えた方がいいかもね……』とコーチにちょっと言ったら、『いや、ブルペン誰も準備してません』。ヤバい、どうしよう、誰もいない。だから、いろいろ時間稼ぎもやったんですけどね。どうにもなりませんでした。ただ、準備はやるべきことをやって、結果がそうなってしまったことなので後悔はないです」
奇策のもやもやの中で退任
パットンの敗戦は、ラミレスの奇策と呼ばれる采配のなかで最も大きな失敗としてやり玉に挙がった。この試合の継投では、先発もできるマイケル・ピープルズや国吉佑樹も投げている状態で、なぜパットンだったのか。多くの批判を受けたラミレスは、この敗戦のもやもやを残しながら、翌月に監督を退任した。

