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「自分はアンダードッグ」Bリーグ“3度目制覇”の宇都宮 田臥勇太でも、竹内公輔でもなく…唯一“全ての決勝で先発”「35歳の超苦労人」の正体とは?
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/14 17:00
Bリーグファイナルを制し3度目の戴冠を果たした宇都宮ブレックス。その3度の決勝戦で全試合スタメン出場を果たした「たった一人」の選手とは?
71-73と、2点のビハインドのまま迎えた最後のフリースロー。アルマはわざとリングにあてて、それを仲間に拾わせ、そのままシュートを打たせようとしたのだ。
彼らはセミファイナルでも残り時間が1秒を切ったところから、リングにはじかれたシュートを空中で押し返すような形でシュートを決め、同点に追いつき、延長戦の末に三遠ネオフェニックスから逆転勝ちを収め、ここまできている。
キングスのアルマがリングに勢いよくあてたボールに飛び込んだのが、エースのヴィック・ローだった。彼は空中でボールに触れ、ゴールに向かって押し返した。
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しかし、その狙いを読み切っていた選手がいた。
ブレックスの大黒柱のグラント・ジェレットだった。彼は、ローが放ったシュートを完璧にブロックした。そこで試合終了のブザーがなり、ブレックスが優勝を決めた。
「ブレックスらしく」勝てた?
実はジェレットはGAME1で左足をねんざしていた。ケガを押しての強行出場にもかかわらず、最後の瞬間に驚異的な集中力とジャンプでゴールを死守した。その悲痛な覚悟を遠藤は知っている。
「普通なら試合をできないくらい腫れていましたから」
ただ、痛みを押して試合に出ようとする仲間の姿を見て、こうも感じていた。
「前回優勝したとき、自分もCSに入る前に捻挫していて。その状況で試合をする大変さがわかるんです。あそこまでいくと気持ちがなんとかしてくれる部分もあって。『優勝したいんだ!』という気持ちというのがほんの少しだけ自分たちの方が勝っていたのかなと思います」
色々な人の想いが乗った勝利だった。ただ、心の底から喜べる理由はそれ以外にもあると遠藤は言う。
「ブレックスらしく勝てたからです」
では、遠藤が言う「ブレックスらしさ」とはいったいどんなものなのだろうか?
<次回へつづく>

