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25歳でVリーグを去ったバレーエリート「後悔はゼロではない。でも…」大山未希(39歳)が語る大山家の絆「姉とわたし、弟と3人でずっと仲良く」
posted2025/05/28 11:02

Vリーグを経て、ビーチバレーでも活躍した大山未希さんは現在、学生の指導にも携わっている
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Miki Fukano
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現在はフリーという立場で子供たちを中心にバレーボールの指導を続けている大山未希さん。インドアを引退した直後は、もしセッターに転向していなければ、もしあのとき引退していなければ、違う道もあったのではないかと様々な人に言われたという。
「引退の時期もですが、そのときどきの決断を後悔していないかと聞かれると、後悔はゼロではないです。でも、その選択をしてこなかったら今のわたしはいないと思っています」
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インドアではサーブレシーブを得意とするアウトサイドヒッターとして活躍し、実業団入りしたあとにセッターへ転向した。その後、ビーチバレーボールに挑戦した未希さんの経歴は指導者として「すべてのポジションのコーチができる」という大きなセールスポイントになっている。
顧問の依頼で「部活動指導」も行っている
未希さんの指導スクールは個人、または団体から依頼を受け、先方に赴くマンツーマン指導が主である。その中で最近、増えているのが「専門的な指導ができる顧問がいない」という学校で部活動に励む子供からの依頼だとか。
「中学校女子で多いのは『フローターサーブが入らない』という悩みです。フローターサーブの指導をしていて驚くのは、そもそもボール投げができない子が多いんです。肩の可動域が狭くて力がない。おそらく現代の子はドッジボールなどのボールを投げるという行為自体を体験する機会がないんでしょうね」
公園に遊具を置かなくなった。危ないからと止められる。加えてコロナ禍を経て外で遊ぶ習慣が減ったり、近年では異常気象の影響で熱中症を気遣って外に出ない子も増えている。そういった現状を考えると、致し方ない。
「まずはボールを投げる練習からスタートしてもらいます。そして力が付いたら打ち方の技術を教えています。専門的なことを教えられないという先生方に頼まれて、チームに赴く機会もありますね。そういったときは普段の練習メニューを考えたりもします」
ぜひ学校の監督にというオファーもあるが「どこかに所属するよりも、困っている人を助けに行くことにやりがいを感じる」と、臨時コーチという今の立場はセッター時代、途中からコートに立っていたときの思いとつながる部分もあるのだという。