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「大山加奈の妹、というテロップを見て…」勝ち続けたバレー天才少女が抱えた本音「悔しさをバネに…という経験がなかった」大山未希の学生時代

posted2025/05/28 11:00

 
「大山加奈の妹、というテロップを見て…」勝ち続けたバレー天才少女が抱えた本音「悔しさをバネに…という経験がなかった」大山未希の学生時代<Number Web> photograph by L)AFLO、R)Miki Fukano

現在はバレーボールの指導者としても活動する大山未希さん

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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L)AFLO、R)Miki Fukano

成徳学園で高校3冠、そしてVリーグ優勝――。バレーボールプレーヤーとしての栄光を全身に浴びたひとりの天才は、25歳で突如Vリーグを去り、別の道へ歩むことを決めた。大山未希(39歳)が今明かす、姉・加奈と歩んだ競技生活、そして未来の話――。《NumberWebインタビュー第1回/23に続く》

◆◆◆

 高校3年間で手にした日本一の称号は実に7度。大山未希さんは成徳学園高時代、1年生からレギュラーとして活躍し、通称・春高バレー(全国高等学校選抜優勝大会)で優勝。全国高等学校総合体育大会(インターハイ)、国体でも優勝し3冠を達成した経験を持つ、いわばエリートの中のエリートである。

「わたしがキャプテンになって春高バレーに出場したときに、わたしを紹介するテレビの映像に『大山加奈の妹』というテロップが出たんです。それを見たときはさすがに“わたしには未希という名前があるのにな”とは思いましたね」

「よく姉はライバルか?と聞かれたのですが…」

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 姉の大山加奈さんは同じ成徳学園高出身、日本代表としてオリンピックでも活躍した日本のエース。19歳のときには、同い年で春高バレーのスター・栗原恵さんとともに「メグカナフィーバー」を巻き起こしたスター選手だった。偉大な姉に引けを取らない成績でバレーボール界に名前を残してきた未希さんだったが、現役時代はそうやって加奈さんの名前を前面に出される機会も多かったという。

「よく姉はライバルかと聞かれたのですが、姉が日本代表で人気者になったときも特に何も感じていなくて、普通に頑張ってほしいという思いで見ていましたね。ただ、街を二人で歩いているときに姉だけがファンの人に捕まってしまって困った経験は何度もあります。『人気者になるってこういうことなんだな』と。わたし、何人のカメラマンをしたことか。携帯電話を渡されて『ハイ、撮りま~す』みたいな。わたしも一応、バレーボール選手なんだけどなぁって思っていました」

 携帯電話のシャッターを押すしぐさをして笑う未希さんは現在、フリーの指導者としてバレーボールの普及に尽力している。姉の加奈さんとは子どものころから現在まで、変わらずに仲が良く、今もお互いの家を行き来する最も近しい関係だ。

 同じアウトサイドヒッターではあるが、コート上でポジションを奪い合った経験はない。ずっと一緒に頑張ってきた仲間だという感覚が強いと語る。片やパワーを武器とする加奈さんと、テクニックで勝負する未希さん。プレースタイルが全く違ったこともライバル関係に至らなかった大きな要因ではないかと振り返った。

【次ページ】 勝ち続けた学生時代「悔しさをバネに…という経験がない」

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