「大山加奈の妹、というテロップを見て…」勝ち続けたバレー天才少女が抱えた本音「悔しさをバネに…という経験がなかった」大山未希の学生時代 

「木村沙織に何度も怒って、言い続けました」

　練習の中で気づいたことを選手同士で話し合うのは日常茶飯事だったという。 

「たとえば木村沙織（元日本代表）は中学校のときまでは全然、感情を表に出さない選手でした。わたしは何度も怒って『プレーだけしていればいいわけじゃない』『もっと声を出してチームのムードを上げようよ』と言い続けました。日本代表で試合に出ている彼女を見ていた人からすれば意外かもしれません。日本代表の沙織はコートで声も出すし、よく笑っていましたからね。プライベートでは仲が良く、でもコート上ではダメなことはダメだと強く言い合えました。成徳はそういう関係を作れるチームでした」

　同時に監督とのやり取りも他校とは違った。

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「（荒木）絵里香さんは中学まで他の学校だったこともあって、成徳学園高校の指導に最初は戸惑っていたみたいで……。監督が言っていることが理解できないと監督に向かって普通に『わかりません』と言い返していました。監督にそんな口答えをしたら他の高校だったら大変なこと。でも小川（良樹）監督は『わからないことを、わからないまま聞き流してはいけない』『ハイ、ハイってなんでも聞いてしまうほうがダメなんだよ』と言って何度も説明してくれました。だから選手のほうも『もう一度説明してください』と言えたんだと思います」

　解説者として活躍するOGが多いのも、こうしてプレーや考えを言語化する環境で育ったからだろう。

超強豪校のキャプテンとして決めた覚悟

　それにしても姉の加奈さんを始めとして、1学年上にはのちにオリンピック選手となる荒木絵里香さんも在籍したチーム。主将を引きつぐプレッシャーはなかったのだろうか。

「ないですね。自分がキャプテンになると思っていたので、覚悟もできていました。小学校、中学校でもキャプテンを経験していましたし。成徳学園は自分たちでキャプテンを決めるんですよ。大体、どの代でも選ばれるだろうなという選手が選ばれる。だから、なるべくしてなったという感じでした。それに当時は自分は上手いと思ってバレーボールをしていたし、自分なら何でもできると思っていましたから。もちろん練習は一生懸命やっていましたし、おごりとかではなく、自分ならできるという強い確信がありました」

　成功体験を積み重ね、自信に満ち溢れた学生時代を経て、未希さんは実業団チームへと進んだ。《インタビュー第2回に続く》

#2に続く

「日本一にも、達成感がなくなって…」将来を嘱望されたバレー大山未希は、なぜ25歳で“現役引退”を決めたのか？ ビーチバレー転向までの真実

#3

25歳でVリーグを去ったバレーエリート「後悔はゼロではない。でも…」大山未希（39歳）が語る大山家の絆「姉とわたし、弟と3人でずっと仲良く」

#2

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#1

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