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「大山加奈の妹、というテロップを見て…」勝ち続けたバレー天才少女が抱えた本音「悔しさをバネに…という経験がなかった」大山未希の学生時代 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byL)AFLO、R)Miki Fukano

posted2025/05/28 11:00

「大山加奈の妹、というテロップを見て…」勝ち続けたバレー天才少女が抱えた本音「悔しさをバネに…という経験がなかった」大山未希の学生時代<Number Web> photograph by L)AFLO、R)Miki Fukano

現在はバレーボールの指導者としても活動する大山未希さん

姉と二人で見学に行ったバレーボールチーム

 未希さんがバレーボールを始めたのは小学校1年生のとき。当時、すでに身長が高くひと際目立っていた姉の加奈さんにバレーボールチームから誘いの声がかかった。「わたしも行きたい」と未希さんが言い出し、二人で見学に行ったのがきっかけである。

 幼少期から運動能力の高かった未希さんは、参加初日にもかかわらず上手にボールを操ることができた。初心者では難しいサーブも、難なく相手コートまで届いた。

「周りにいた人に『すごいね』と誉められて、自分って天才なんじゃないかなって思いましたね(笑)。誉められるとやっぱりうれしいので、その瞬間にバレーをやってみようかなと思いました」

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 入団早々、小学校4年生以下で構成するソフトバレーボール大会に出場。うまい子で結成したAチームに下級生ながら抜擢される。皆がうまいと誉めてくれる。自分の思い通りにプレーできる。小学校のときは、そんな楽しい思い出しかないと振り返った。

勝ち続けた学生時代「悔しさをバネに…という経験がない」

 中学校は強豪・成徳学園中学に進学。他の強豪校からも誘われたが、先に姉の加奈さんが入学していたこともあり、同じ道を進んだ。中学、高校と未希さんが所属した当時の成徳学園は無双状態。勝ち続けるアスリートのメンタリティとはいったいどんなものなのだろうか。

「小学校5年生の時に初めて日本一になりました。そういう成績を残すと、中学でももちろん優勝したいと思うようになります。そこでバレーの強い学校に進みました。考えてみると、わたし、日本一を目標にしていなかった時期がなかったんです。『まずはベスト4』みたいなときが全くありませんでした。だから負けた悔しさをバネに……という経験もないんです」

 全国大会の常連であった成徳学園だったが、いわゆる他の強豪校にありがちなスパルタ式指導ではなかった。

 1日の練習時間は2~3時間。朝練習も自由参加。金曜日は完全オフで土日の練習は午前中のみ。部活の帰りには部員と一緒にクレープを食べに行くなど、高校生活を謳歌できた。全寮制で朝から晩まで練習に励むチームが多い中、成徳学園の練習は意外なほど短い。

「それが他の高校との圧倒的な違いですね。そして仲間同士で言わなければいけないことを言う、ときには怒る。それによって自分にも責任が生まれる。そういう指導方針でした。それが今につながっていると感じることは多いです」

【次ページ】 「木村沙織に何度も怒って、言い続けました」

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