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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「やっぱり斎藤佑樹の人生は美しくて格好いい」同期入団・谷口雄也がともに過ごした鎌ケ谷の日々を語る「斎藤さんは悪いときこそファンを大事に」
text by

熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/05/17 11:02
2014年、同期入団の斎藤佑樹と谷口雄也がクライマックスシリーズ進出を決めた一戦で投打のヒーローに
新人たちが顔を合わせて間もない新人合同自主トレで、彼らはさっそくいたずらを仕掛ける。齊藤勝の発案で、全員が斎藤と同じジャージ、サングラスを身につけ、寮から球場へと向かったのだ。斎藤ひとりが悪目立ちするのではなく、みんながおもしろがってフィーバーに便乗する。斎藤と仲間たちは、そんなしたたかさやノリを備えていた。
脚光と苦闘、ふたりの斎藤
斎藤はルーキーイヤーに6勝をあげるが、結果的にそれがキャリアハイとなった。翌年も5勝したが、以降は度重なるケガに苦しんだ。谷口もまた故障に悩まされ、14年にクライマックスシリーズ出場を決める一戦でお立ち台に上がった同期のふたりは、鎌ケ谷で過ごす時間が長くなっていった。つまり谷口は、華々しい脚光を浴びる斎藤と二軍でもがき苦しむ斎藤という、ふたりの斎藤を間近で見ている。
「ぼくはアマチュア時代の斎藤さんを、スマートで美しいキャリアを送っているなと思って見つめていました。プロになってからは思い描いた成績ではなかったと思いますが、ファイターズ在籍の残り数年は、故障を抱えながらも乗り越えようとなりふり構わずもがく姿がとても印象に残っています」
斎藤佑樹はこうあるべき
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谷口によると鎌ヶ谷での斎藤は、年齢や実績には関係なく若手や二軍の選手からでも貪欲に吸収しようとしていたという。
「少しでも疑問に思うようなことがあると、1年目の新人でも構わず声をかけてヒントを得ようとしていました。ふたりで食事をしたときも、『雄也は逆方向に強い打球を打てるけど、そういうバッターを迎えたときは、どうやって攻めていけばいいと思う?』とか、『俺みたいなピッチャーと対戦したとき、バッターはどんなふうに考えるの?』などと聞かれて、技術やメンタルについて話をしたことを憶えています。
あの野球に取り組む真摯な姿勢は、間違いなく若手たちの大きなお手本になったと思いますが、そこにはケガと戦う中でも『斎藤佑樹はこうあるべきだ』という姿勢を貫こうとする彼の意志があったんだと思います」


