「やっぱり斎藤佑樹の人生は美しくて格好いい」同期入団・谷口雄也がともに過ごした鎌ケ谷の日々を語る「斎藤さんは悪いときこそファンを大事に」 

　斎藤は実績のない若手たちもひとりのプロとして尊重したが、その丁寧な態度は決して多くはない鎌ケ谷のファンに対しても変わることがなかった。

「いいときはもちろん、悪いときの自分を応援してくれるファンを、斎藤さんはものすごく大切にしていました」

常にファンを大事にした男

　この谷口の言葉に、前出の畑中久司も全面的に同意する。

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「斎藤さんは、いいときと悪いときの人生の落差を知っていて、だからこそ変わらずに応援してくれるファンを大切にしていました。鎌ケ谷には『ケガをしていても彼のことが好きなんです』といって来てくれるファンが一定数いて、彼はそういう人たちとのコミュニケーションをとても大事にしていたんです」

　11年間のプロ野球人生における勝ち星は15。ルーキー時代のフィーバーを思えば物足りないかもしれないが、彼が体現したあきらめない姿勢は次世代を担う若手たちに受け継がれた。

　札幌ドームで引退セレモニーを迎えた斎藤を、鎌ケ谷の「杉谷拳士と仲間たち」は『100％勇気』で送り出した。二軍の選手たちが全力で披露したあの歌に、「斎藤佑樹の人間性が詰まっているんです」と谷口は言う。

やっぱり斎藤佑樹は格好いい

2014年9月29日、斎藤と谷口が投打のヒーローとなった　©SANKEI SHIMBUN

　ユニフォームを脱いで4年が経ったいま、ふたりは北海道で野球の普及に携わるという意味でチームメイトのような間柄だ。一方であの日、鎌ケ谷で「ぼくもユウちゃんです」とあいさつした彼は、斎藤佑樹の背中を追い続けてもいる。

「斎藤さんとはいまでも年に数回はお会いして、仕事やいろんな話をします。彼は子どもたちのために野球場を造っていて、『雄也がファイターズに携わっているなら、野球場をつかってよ』なんてありがたい声をかけてもらっています。その点では、ぼくたち同期だよねと言える近しい存在ですが、同時に斎藤さんはビジネスマンとしても活躍するようになって、また遠くに行っちゃったなあなんて思うことも。やっぱり斎藤佑樹の人生は美しくて格好いいんです」

〈全2回の2回目／はじめから読む〉