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鹿島・鬼木達の“表情が変わった”ある質問「厳しい言い方をすれば…」古巣・川崎Fに“意外な本音”「(ACLEは)勝たないといけなかった」国立決戦ウラ側 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byMasashi Hara

posted2025/05/13 11:07

鹿島・鬼木達の“表情が変わった”ある質問「厳しい言い方をすれば…」古巣・川崎Fに“意外な本音”「(ACLEは)勝たないといけなかった」国立決戦ウラ側<Number Web> photograph by Masashi Hara

古巣・川崎フロンターレとの対戦で激しいアクションを見せる鹿島アントラーズの鬼木達監督。5月11日、国立競技場

 両者の関係性には、深いリスペクトがある。もちろん、勝負の世界に身を置く者同士である以上、たとえ近しい仲であっても、監督として深入りすることは決してないだろう。互いに手を差し伸べたり、背中を押したりするようなこともないはずだ。

 だからこそ、尋ねてみたいと思った。

 ACLEの決勝後、長谷部が名指しで敬意と感謝を口にしていたことについて、である。新天地で指揮を執っていた鬼木は、あの言葉をどんな思いで聞いたのか。

「厳しい言い方をすれば…」鬼木達に聞いた“本音”

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 試合後のミックスゾーン。

 その脇では、取材対応を終えた川崎フロンターレの選手が何人も待機していた。ロッカールームから出てくる鬼木を待っているのだ。代わる代わる選手が挨拶に行き、旧知のスタッフたちとも談笑していた。

 その輪も徐々に解け、取材現場に選手もすっかりいなくなった頃、チームバスに乗り込む鬼木がミックスゾーンに現れた。残っていた川崎の番記者陣が挨拶に行くと、勝負を終えた後に見せるいつもの笑顔で応じてくれた。

 再会の握手を交わした後、率直に尋ねてみた。

 少し重たい質問だったかもしれないが、ここで聞いておかないといけないと思った。こちらの問いに対して、鬼木ははぐらかすことなく、表情を変えて真剣に話してくれた。

「そこはありがたいというか、申し訳ないというか。ハセさんはいろんなところで『前監督の』という話をしてくれていた。そういう思いのようなものは、自分にも残るというか……。でも、あそこまで行けたのはハセさんと選手たちの力ですよ。そうじゃないと行けなかったし、それは本当に素晴らしかったと思います」

 託された側が、自分の思いを汲んで決勝まで勝ち進んでくれた。川崎を去った鬼木もまた、後任の長谷部に対する敬意と感謝を口にした。

 しかし、言葉はここで終わらなかった。少し意外な言葉を続ける。

「ただ欲を言えば……厳しい言い方をすれば、ですよ?」

 そんな風に慎重に念押しした上で、こう続けた。

「勝たないといけなかったと思います」

 ACLE決勝は勝たなくてはいけない戦いだった。彼はそう言ったのだ。

 日本の多くのサッカーファンが、川崎の準優勝に拍手を送っていたことだろう。自分もその1人である。ただ鬼木は違った。決勝まで進んだ過程を最大限に賛辞しながらも、決勝で負けたという事実を、愛情を持って指摘したのだ。

【次ページ】 「2位じゃダメだと一番学んできたチームだから」

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