- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
「えっ、井上尚弥が鼻血を…」じつは1ラウンドにあった“カルデナスの異変”「思っていたのと違うぞ」世界的カメラマンも動揺…現地で何が起きていた?
text by

福田直樹Naoki Fukuda
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/05/10 11:29
試合前日の計量で顔を合わせた井上尚弥とラモン・カルデナス。この時点でカルデナスの善戦を予想する声は少なかった
もちろん井上選手のパンチもかなり当たっていましたし、フィニッシュから逆算して試合を運べている感触があったんだと思います。そろそろ次の段階に進もうかというところで、2ラウンド終盤はさらに攻撃的になった。しかし、ギアを上げた直後に、あの左フックを浴びてダウンしてしまった。
まさかのダウンにカメラマンも動揺「先が予想できない」
真っ先に思い出したのは、ガーボンタ・デービスがライアン・ガルシアからダウンを奪った左フック。前に出る相手に合わせてサイドに大きく動いて、ノールックで左を振る。タイミングも完璧で、相当準備していないと打てないパンチです。
ネリ戦とは違ってゆっくりと崩れるようなダウンでしたし、おそらくネリ戦よりも効いていたと思います。ただ、ラウンド終了のゴングが近かったのと、パンチが微妙に“詰まっていた”ことが幸いしました。たとえばセルヒオ・マルチネスがポール・ウィリアムスをKOしたノールックの左(2010年度のノックアウト・オブ・ザ・イヤー)。あれくらい腕を振り抜く距離があったら、もっと怖かったですね。
ADVERTISEMENT
試合後なので冷静に振り返ることができますが、あの瞬間は観客も、関係者も、撮影している我々も含めて、会場の動揺ぶりがすごかった。カルデナス選手を応援していた人たちでさえ、あのダウンは予想外だったんじゃないかと思うほどです。
2ラウンド後のインターバルの間も会場は騒然としていました。どんな展開になるのか、あの時点ではちょっと予想がつかなかった。ただ、そこからがモンスターの真骨頂でした。
<続く>


