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井上尚弥の「右、右、右、右」エグい4連打でカルデナスが崩れ落ち…カメラマンが目の前で見た“決定的瞬間”「苦痛で顔がゆがみ…体がガクッと沈んだ」

posted2025/05/10 11:30

 
井上尚弥の「右、右、右、右」エグい4連打でカルデナスが崩れ落ち…カメラマンが目の前で見た“決定的瞬間”「苦痛で顔がゆがみ…体がガクッと沈んだ」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

8回TKOでラモン・カルデナスを下した井上尚弥。現地ラスベガスのリングサイドで試合を撮影した福田直樹氏が語る“決定的瞬間”とは

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福田直樹

福田直樹Naoki Fukuda

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Naoki Fukuda

 現地時間5月4日、米ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われたスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥の防衛戦。挑戦者ラモン・カルデナスからダウンを奪われるなど予想外の展開となった“怪物のアメリカ再上陸”を、世界的ボクシングカメラマンはどう見たのか。9年前までラスベガスを拠点として活動し、全米ボクシング記者協会の最優秀写真賞を4度受賞した“パンチを予見する男”福田直樹氏に、リングサイドで撮影した激闘を振り返ってもらった。(全2回の2回目/前編へ)

「4ラウンドからは実力差が…」井上尚弥の逆襲

 3ラウンド以降の井上選手の巻き返しと、それに呼応した会場の盛り上がりはすごかったですね。テクニカルに挽回していったルイス・ネリ戦とは違って、熱い気迫で挽回していったのが非常にエキサイティングでした。

 もちろん気持ちだけでなく、卓越した技術も随所に見せてくれました。まずはやはりジャブ。普段とは違う展開のなかでも、井上選手ならではの速くて削れるジャブがすごく機能していた。3ラウンドはまだカルデナス選手もダウンを奪った勢いがありましたが、ジャブから井上選手がペースを握り返しましたね。

 4ラウンドからは次第に実力差が表れてきたなと思います。パワーパンチもかなり入るようになった。上下を打ち分けて、さらにパンチの角度も微妙に変えながら、どんどんダメージを与えているのが撮っていてわかりました。相手の特徴もわかってきて、パンチを避けたり、受け流したりするシーンが増えていった印象です。

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 ただ、カルデナス選手も打ち終わりに合わせる左フックは常に狙っていました。正直、右は当たってもそこまで威力があるようには思えなかったのですが、左はすごくキレていた。ロープ際に追い込まれて手が出なくなっても、あのパンチだけは打ち続けていました。

 渾身の力を込めて左を振るたびに観客はヒヤヒヤだったでしょうね。途中からは明らかに井上選手に見切られていましたが、それでも会場がどよめいて、リングサイドの我々までドキッとしていたくらいですから。2ラウンドのダウンを見てしまったので、みんなそのイメージが頭のなかに残っていたんでしょう。ただ結果的にあの左フックのおかげで、最後までスリリングな試合になった気がします。

【次ページ】 目の前で見た“突き刺さるボディ”「体がガクッと…」

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