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核心にシュートを!BACK NUMBER
高校卒業後「わずか1カ月」の衝撃…“18歳のルーキー”がなぜBリーグの超強豪で活躍できる? 千葉ジェッツ・瀬川琉久の規格外「リアル評」
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2025/05/10 11:01
4月に高校を卒業したばかりの18歳のルーキー・瀬川琉久が主力級の活躍を見せる千葉ジェッツ。新人の覚醒理由は…?
この話にはさらなる深い背景があった。
実は試合終盤に相手が逆転を狙ってファールゲームをしかけてくるようなときには、HCが特定の選手にボールを持たせるよう指示することはよくある。フリースローが上手い選手にボールを持たせれば、ファールをもらってからの得点効率が高まるからだ。
しかし、このときグリーソンHCは瀬川に持たせるように指示“してはいなかった”。それでいて、相手がハイプレッシャーをかけてくるなかで瀬川がボールを受け続けたことを、指揮官は喜んだ。
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「しっかりボールをもらって、ゲームを作り、調整するというのが、(ジェッツの)ポイントガードの役割です。私が何か指示したというより、彼は担うべき役割をやったのかなと考えています」
この「役割」というのが、グリーソンHCが大切にしていることだ。指揮官はしばしば各選手の「役割」を口にし、シーズン終盤戦ではCSに向けた「役割」を考えながら選手起用を進めてきた。
バスケットボールでの「役割」の重要さ
そもそも「役割」を明確化し、分担する作業はバスケ界では勝利するための戦略として非常に有効なものとして知られている。
たとえば、2023年W杯でドイツ代表を優勝に導いたゴーディー・ハーバートのメソッドがそうだ。
そして日本代表のHCであるトム・ホーバスのチーム作りの本質も「役割」分担にある。現代表でも、東京五輪で銀メダルを獲得した女子の日本代表HC時代にも、各選手の役割を明確に伝え、成果を挙げてきた。それゆえにオールスター的な選手選考ではなく、一芸に秀でた職人タイプを集めてチームを作ってきた。
コートに立てるのは5人だけだが、ベンチ入りメンバーを含めた12人の選手が入れ代わり立ち代わりコートに立てるというルールのあるバスケの戦略のなかで、各選手の「役割」を明確にするのは有効な戦略であるということだ。

