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「高橋藍もダマされた…」味方も惑わすセッター大宅真樹(30歳)の“絶品トス”「マジで怖い」から始まったSVリーグ初代王者への道のり
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byYuki Suenaga
posted2025/05/09 11:07
高橋藍ら豪華なアタッカー陣を操り、サントリーサンバーズ大阪をSVリーグ初代王者に導いたセッター大宅真樹(右)
高橋藍やシリフカという世界的に活躍する選手の補強で注目度も期待値も爆上がりする中、彼らを操る立場の司令塔はシーズン前、「マジで怖い」ともらしていた。
特にシーズン序盤はまだ新加入選手との連携が不足していたこともあり、開幕から連敗して波に乗れず、様々な声が耳に入った。どちらかというとネガティブ思考な司令塔は、セミファイナルでも「自分のせいで終わらせてしまったら」という不安に苛まれた。
だがファイナルの前、腹を括ったようにこう語っていた。
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「1本コンビミスがあるだけで見方が変わるぐらい、すごく大勢のファンが藍やオレク(シリフカ)にはついていて、今季はそこの怖さもあったし、『なんでセッターばっかり言われるの?』という気持ちの時は楽しくなかった。でもそういう人たちからも認めてもらいたいという気持ちに、今は変わっている。『大宅でよかった』って、最終的に言ってもらいたいという気持ちが、今は強いですね」
ファイナル第2戦で71.4%というアタック決定率を残し、チャンピオンシップMVPに輝いた高橋藍は言った。
「イタリアでもたくさんのセッターとやってきましたけど、大宅選手のすごいところは、欲しい時に欲しいトスをくれること。スパイカーがどういうタイミングで欲しいのかがわかるセッター。例えば、僕は倒れながらサーブレシーブをしても、そういう状況でトスを欲しがるんですけど、大宅選手はそれを感じてくれた。今日もそういう場面が多かったし、拮抗した場面でもトスを託してくれました」
最高の結果と、高橋藍の躍動する姿や言葉が、様々なプレッシャーを撥ねのけた大宅への最大の労いだろう。

