井上尚弥のダウン「ビックリしました」その後、カギになった“あるパンチ”とは？「カルデナスの顔が真っ赤に…」怪物と最も拳を交えた男が解説 

「同時に3発殴られているような感覚」

試合後、カルデナスは井上について「パワーでいえば、もっと優れた選手がいた。それよりも一度に6発、7発、8発と繰り出す圧倒的な連打にやられた」とコメントした。

――カルデナス選手も連打のことを話していましたね。

「もちろん、僕らフライ級とか、ライトフライ級の選手にとって、井上選手はめちゃくちゃパンチ（の威力）があるんですけど、それにつなぎが恐ろしく速い、ということだと思います」

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――つなぎと言いますと？

「タイミングの話と似ていますが、ワンツーから左フックだとしたら、バン・バン・バンと間がありますよね。それが、ガードしていると、イメージ的には違うところを同時に3発殴られているような感覚なんです」

――間がなく、同時に打たれている？

「はい。なので、これではガードを外せないな、となりますよね。カルデナス選手もそういう感覚だったと思います」

井上はカルデナスから「圧倒的な連打」で主導権を奪った　©Hiroaki Finito Yamaguchi

――ジャブを軸にして、4ラウンドからは井上選手がペースを握りました。

「カルデナス選手から見ると、とにかくジャブの威力があって、まずはそっちに意識をとられる。それで右を打とうとすると、バックステップされて、左フックからの右アッパーと井上選手が得意のパターンがくる。もうその流れになると、自分の持っている手札がどんどんなくなっていくんです。だけど、カルデナス選手はやることが少なくなっても殴られても、下がって手を出さなくなったらおしまいなんで、おしまいにはさせないっていう気持ちが最後まで見えました。自分のやるべきことを貫いていましたね」

《後編に続く》