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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥のダウン「ビックリしました」その後、カギになった“あるパンチ”とは?「カルデナスの顔が真っ赤に…」怪物と最も拳を交えた男が解説
posted2025/05/09 17:29

5月4日のカルデナス戦でダウンを奪われるも、8回TKO勝利となった井上尚弥
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
◆◆◆
――とてもハラハラする、見応えのある試合でした。率直な感想は。
「やっぱり2ラウンドのダウンはびっくりしましたね。あとは相手のカルデナス選手がランキング1位にふさわしい、気持ちも技術もあるすごくいい選手だなと感じました」
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――あのダウンの場面はどう分析しますか。
「流れの中でのパンチで、カルデナス選手はサウスポースタイルになって打っていましたよね。意図したパンチではなく、避けながら咄嗟に出たパンチなんでしょうけど、どんな体勢でもしっかり一番強いパンチを打つ練習を相当してきたんだろうなと感じました」
――井上選手が倒れるとは……。
「あれは本当に見えていなかったし、あの感じでもらったらみんな倒れると思います。(ルイス・)ネリ戦と違って、今回はもろに真正面からもらっています。それでも意識を断ち切らずに冷静に立ってくる。そこがすごい。普通の選手なら立ってこないで、あのまま終わってしまうことも十分考えられます」
対戦相手は左フックを「みんな狙ってくると思う」
井上は30戦で大きなダメージを受けたことはほとんどない。だが、ノニト・ドネアとの第1戦、ネリ戦、そして今回。いずれも左フックの同じような軌道で被弾をしている。
――これから対戦相手は左フックを狙ってくるでしょうか。
「みんな狙ってくると思います。3回とも同じ軌道なんで。ただ、井上選手がもらっている場面って、すごく打ち気になっているときなんですよね。WBSSの決勝、東京ドーム、ラスベガス。いずれも大舞台です。本人の気性もあるし、その打ち気が魅力なんですが、もうちょっと引き気味で闘っていたら、もらわないと思います。3回あったということは、陣営も本人も修正してくると思います」
――ネリ戦と同じく、ダウンからの立て直しが素晴らしかった。どう見ましたか。
「リカバリー能力がすごく高いですよね。あの後、普通に動けるというのが。それとダウンの後、左ジャブが多くなった。そこですよね。スーパーバンタムに上げて(マーロン・)タパレス戦から、どっしりした構えになっています。下から上に打つようなジャブ。あの左ジャブはいいなと思いました」