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「度が過ぎると体罰に」“叱る方が育つは幻想”心理士がズバリ…大谷翔平と藤井聡太の共通点は「苦痛という言葉すら浮かばない」 

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村中直人/大利実

村中直人/大利実Naoto Muranaka/Minoru Ohtoshi

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posted2025/05/10 17:00

「度が過ぎると体罰に」“叱る方が育つは幻想”心理士がズバリ…大谷翔平と藤井聡太の共通点は「苦痛という言葉すら浮かばない」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平と藤井聡太。野球と将棋という世界の違いがあるが「好きなことに突き進んでいく」という共通点を心理士は見出している

 “快”だけでスクスクと伸びていくことができるのなら、それが一番の理想だと思いませんか。「苦手なこと、苦しいことに向き合って克服しなければ、人は成長しない」という考え自体が、大人の思い込みに過ぎないのです。

 そして、本人が心の底から楽しんでいれば、多少困難なことにぶち当たったとしても、それを「苦痛」だとは捉えず、前向きに壁を乗り越えようとするでしょう。大切なことは、他者から与えられる理不尽な「苦痛」ではなく、自分のやりたいことの先にある困難と向き合うことです。そういった体験こそが成長につながるのです。

 私の想像ではありますが、MLBの大谷翔平選手や将棋の藤井聡太七冠らは、競技自体を楽しんで、好きなことをずっと続け、やりたいことをとことんまで突き詰めた先に、今の活躍があるように思います。2人の言動や振る舞いを見ていると、「苦痛」という言葉すら浮かんできません。ついつい信じてしまう「苦痛神話」を、一度手放してみてはどうでしょうか。ここで知っておいてほしいのは、「苦痛神話」を信じている人は、「人間の成長を筋肉のように考えている」場合が多いことです。〈つづく〉

#2に続く
「大声で怒っても意味がない」甲子園優勝監督が球児との対話で実感「叱ると怒る…え、何が違うの?」仙台育英・須江監督が長年疑問に持つこと
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