酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

「36試合中16登板」パドレス松井裕樹の序列と「ドジャースも“ブラック体質”」過酷なメジャー救援事情…大谷翔平HR量産報道で埋もれがち

posted2025/05/13 17:50

 
「36試合中16登板」パドレス松井裕樹の序列と「ドジャースも“ブラック体質”」過酷なメジャー救援事情…大谷翔平HR量産報道で埋もれがち<Number Web> photograph by Justin Edmonds/Getty Images

パドレスの救援陣の一角を務める松井裕樹。タフさが求められるメジャーのリリーフ事情の中で着実に結果を残している

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph by

Justin Edmonds/Getty Images

 MLBでは「先発投手の肩肘」は、本当に大事にされる。今や100球以上投げる投手はほとんどいない。抑えていても5回70球くらいで引っ込む先発も珍しくない。登板間隔も厳しく管理される。

 これとは対照的に、救援投手は起用法が無造作だ。

ドジャース救援陣の登板過多…“ブラック体質”のナゼ

 ドジャースは今年もグラスノー、スネルと一線級の先発がIL(故障者リスト)に入っている。そのしわ寄せで、救援投手は「ブルペンデー」での先発登板も含め、登板試合数が増えている。チームが41試合を消化した時点で、ベシアが21試合登板、スコットとイェーツが20試合、ガルシアが19試合。このペースだと4投手ともに登板数は70試合をオーバーしそうだが、MLBでは「救援投手の肩肘を守れ」という声は聞こえてこない。

ADVERTISEMENT

 なぜなら先発投手と異なり、1~2イニングを抑える救援投手はMLBにはたくさんいるから。昨年、60試合以上登板した投手は両リーグで96人もいた。だから故障すれば「他の投手を連れてくればいい」わけで、年俸も高年俸の傾向がある先発投手の数分の1だ。

 もちろん救援投手でも「絶対的なクローザー」になれば、ヤンキースのマリアノ・リベラやパドレスなどのトレバー・ホフマンのように殿堂入りする例がある。とはいえ大多数の中継ぎは活躍してもほとんど注目されない。活躍できる限りは使われるが、故障すればすぐに戦力外になる。後述する大谷翔平のホームラン量産を筆頭に、MLBの報道において埋もれがちだが――救援投手を取り巻く環境は「ブラック体質」と評しても過言ではないだろう。

救援充実のパドレスで松井裕樹が頑張っている

 パドレスの松井裕樹は、今の日本人メジャーリーガーでただ一人の救援投手。MLBでも最も過酷なポジションで頑張っているのだ。

〈松井裕樹/パドレス〉 ※投手のカッコ内は(球数-ストライク)
2025年 16試0勝1敗0S17回9安2本6球21振 責4率2.12
5月の成績
5月2日パイレーツ戦0.2回0安0本1球0振 責0(8-4)H
5月3日パイレーツ戦1回0安0本1球0振 責0(7-2)
5月5日ヤンキース戦1回0安0本0球0振 責0(15-7)
5月9日ロッキーズ戦1回0安0本0球0振 責0(10-6)
5月11日ロッキーズ戦1回0安0本0球2振 責0(11-8)

【次ページ】 スライダーは通用、ただし現状の序列は…

1 2 3 4 NEXT
#松井裕樹
#サンディエゴ・パドレス
#大谷翔平
#ロサンゼルス・ドジャース

MLBの前後の記事

ページトップ