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「毎食パンだけ… 米をくれって(笑)」青柳晃洋が奮闘するマイナーの過酷生活と険しいメジャー昇格への道…元阪神エースが語る米国挑戦の真実 

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山田結軌

山田結軌Yuki Yamada

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posted2025/04/30 11:05

「毎食パンだけ… 米をくれって(笑)」青柳晃洋が奮闘するマイナーの過酷生活と険しいメジャー昇格への道…元阪神エースが語る米国挑戦の真実<Number Web> photograph by Yuki Yamada

メジャー昇格を目指し奮闘を続けている青柳

阪神を飛び出して選んだ「道」

 メジャーリーグや日本の一軍に比べ、小さなスタジアムとまばらな観客。ナイター照明も薄暗いマイナーでも、青柳に迷いはない。マイナー契約から、メジャー昇格することが難しいことは過去の日本選手たちを見て理解している。それでもなお、恵まれた環境をあえて捨てて、数年前から抱いてきた思いを叶えるため米球界に飛び込んだ。

「タイガースを飛び出して、こっちに来た時点で僕はいい挑戦ができていると思っています。僕が知らない野球をやりたくて、こっちに来た。お金とか(待遇)を取りたければタイガースに残るのが一番良かったんだと思います。もちろんメジャーに上がりたいし、上がらなきゃいけないし、上がるためにやっているんですけど、この経験が出来ることもなかなかないと思うから」 

 もちろん、ただ「いい経験」をするためだけに海を渡ったわけではない。青柳の場合、仮にフィリーズで昇格が叶わなくとも、メジャーリーガーになる可能性はある。招待選手としてメジャーキャンプに招待されるレベルの選手は、多くの場合、その球団傘下のマイナーでプレーしながらも、他球団からメジャー契約を提示された場合には移籍することが可能だ。青柳の契約条項の詳細は定かではないが、ポスティングシステムで移籍した選手がマイナー契約を結ぶ場合には同様の条項が入ることが一般的だ。

ただ地道に、そして着実に…

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「日本人がくる時は大きい契約を取ってメジャー契約、というのが基本路線の中で、わざわざマイナーリーグでプレーすることを覚悟して飛び出してくる選手はなかなかいないと思う。来て後悔は一切ない。一日たりとも後悔している日はない。まず、このマイナーの現実を受け止めて、結果を出し続けるしかない、と過ごしている。すべては自分の成長のためかなと思っています」

 初めての米国野球、そしてリリーフとしての役割。連投、イニング途中からの登板、複数イニング登板など、ブルペンとして求められる起用方法はすでに経験した。慣れ、適応、ステップアップ。メジャーはまだ遠いかもしれない。ただ地道に、そして着実に近づくために青柳は挑戦の日々を送っている。〈前編も公開中です〉

 

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青柳晃洋「防御率13.50」から目指す大逆転! フィリーズ3Aで7試合連続無失点の陰にあった原点回帰「一生懸命投げない」メジャー昇格への道筋
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