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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「毎食パンだけ… 米をくれって(笑)」青柳晃洋が奮闘するマイナーの過酷生活と険しいメジャー昇格への道…元阪神エースが語る米国挑戦の真実
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byYuki Yamada
posted2025/04/30 11:05

メジャー昇格を目指し奮闘を続けている青柳
ブルペン陣に目を移すと、セットアッパーには試合展開次第ではクローザーもこなす変則左腕、マット・ストラームがいる。昨季は66試合で防御率1.87、18ホールド、3セーブを挙げた。そして守護神は左のパワーピッチャー、ホセ・アルバラードがスタンバイしている。青柳は、メジャー屈指の投手戦力を誇る強豪チームで昇格を勝ち取るまで結果と内容を出し続けなければいけない。
パンばかりの食事に思わず…
メジャーを目指す若き才能が集まるマイナーでの待遇はメジャーに大きく劣る。食事もホテルも移動も恵まれているメジャーに比べ、大差がある。メジャーの移動はチャーター機だが、マイナーは4~5時間の長距離バス、そして格安航空会社の民間機を使う。メジャーのように大都市に球場があることは少ないため、最寄空港からは、さらにバスに揺られなければいけない。メジャーなら、1人で2、3個分の座席が使える飛行機やバスは、基本的に1人1席。大柄な男たちが所狭しと身を寄せ合って移動する。
体が資本のアスリートとはいえ、食事も限られている。「ビジター(遠征時)は特にひどいですね」。青柳はそういって苦笑いする。
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「朝はパンだけってわけじゃないですけど、ほぼパンだけで昼がハンバーガーみたいなもの。チェーン店のものがバーって置いてあるような。試合後はピザとか。なんで毎食パンなんだ? みたいな。米をくれ! って(笑)。まあ、求めてもしょうがないですけどね、ここでは」
「日本を求めないように…」
ファストフードでスタッフが買い出したものがダイニングにあるだけ、という状況だ。メジャー経験があり、ある程度、金銭的に余裕のある選手は自分で食事を用意する場合もある。しかし若い選手たちの多くは、そこに用意されたものを食べるしかない。
日本の一軍では、試合後にホテルで豪華なケータリングが用意されている。そして、ナイター試合後の深夜でも利用できるレストランはたくさんある。だが、米国の田舎町ではそうはいかない。そこに不平不満はない。
「僕はもうこっちに来たときに、郷に入っては郷に従え、じゃないですけど日本を求めないように心がけている。だから、対応はできているのかなと思いますね」