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24歳“怪物ランナー”廣中璃梨佳が日本選手権で「ただいまです!」のウラ話 五輪&世陸で入賞→ケガで長期離脱…でも「消えた天才」にならなかったワケ 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph bySatoshi Wada

posted2025/04/19 17:01

24歳“怪物ランナー”廣中璃梨佳が日本選手権で「ただいまです!」のウラ話 五輪&世陸で入賞→ケガで長期離脱…でも「消えた天才」にならなかったワケ<Number Web> photograph by Satoshi Wada

トレードマークのキャップを被ったまま日本選手権のゴールに飛び込んだ廣中璃梨佳(日本郵政G)。2年ぶりの戴冠だった

 それでも、レース巧者の廣中は冷静だった。

「自分のペースで行ききれなかったので、ちょっと様子を見る、自分を落ち着かせる時間にしたいなと思って一旦下がりました」

 残り4周で矢田に先頭を譲り、その後方に付いて勝機を窺いつつ、終盤のレースプランを練り直した。

2年ぶりの戴冠…「強い」廣中が復活!

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 そして、ラスト2周。再び矢田の前に出てスパート。矢田も食らい付こうとしたが、その差はじわじわと開いていった。そして、故障明けの不安もあるなか、大本命としてしっかりと勝ち切ってみせた。

 廣中といえば、キャップを投げ捨ててスパートするのが恒例のようになっていたが、今回のレースではキャップを被ったままフィニッシュラインを駆け抜けた。

 記録は31分13秒78。自己ベストよりは30秒以上遅いが、気象等の外的コンディションを考えれば、上々のタイムといえるだろう。加えて、駆け引きのうまさや勝負強さも光った。「強い」廣中の見事な復活劇だった。

「ラスト2周まで息が上がらずに余裕を持っていけたのは収穫でしたが、そこからスピードのギアを上げるのがちょっと遅かった。スタミナやスピード持久力はだんだん付いてきたかなと思うので、あとはスピードをスムーズに上げられるように移行していきたいと思います」

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