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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
“専属契約なし・取材パスなし”で引っ張りだこの「ノーブランド」野球解説者・五十嵐亮太のサービス精神の源流は「野村克也監督の嫉妬深さ」!?
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/04/11 11:02
MLB開幕シリーズの解説を務めた五十嵐亮太さん。波瀾万丈の選手生活からいっそう自由な解説者人生の「源流」とは?
ヤクルトの選手のサインは読みやすい(笑)
「ははは、どうなんでしょう。確かに、環境に左右される部分はあるかもしれませんね。元々東京にはジャイアンツがいて、圧倒的に人気がある。だけど、ヤクルトの選手だって、自分たちを見てもらって、顔と名前を覚えてもらって、できたらファンになってほしいわけですよ。
だから細かい話ですが、たとえば、ヤクルトの選手のサインってすごく読みやすいんです。お店なんかで実際に貼ってもらったとき、『お、五十嵐亮太がここに来たのか』ってすぐわかってもらえるように。みんな、漢字がちゃんと判読できる形になってる(笑)」
テレビで取り上げてもらうために、積極的に発信するのも選手が自ら行っていたことだったという。
『珍プレー好プレー』で取り上げられるように
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「ジャイアンツの選手は、試合でいいプレーをしていればテレビに映って覚えてもらえるでしょう。でもヤクルトは『珍プレー好プレー』なんかでも取り上げてもらえるよう、選手から協力していましたからね。
だってキャンプの練習中なんて、今から考えたら、えっこんなに近くで撮るの、っていうくらいまでカメラを入れさせて。最後『お疲れ』って打ち上げるとき、円陣の内側からカメラマンがなめるように見上げて撮ってるんですから(笑)」
そんなサービス精神が、今の五十嵐さんの明るく親しみやすい解説スタイルにも通じているのでは、と思えてくる。
野村監督、古田から伝えられたサービス精神
「そういう、見てもらう意識とか、自分たちから発信する必要性というのは、野村克也監督から学んだ部分でもあります。野村さんって、話を聞いているとまあ嫉妬が強いところもある方で(笑)。だけどそのおかげで、巨人や長嶋茂雄さんに対して、自分たちの違いや魅力を見せることでファンを作ったり、アンチがいたならアンチも引き込むにはどうするかも考えていく、という下地がチームにあったんですね。
だから僕らも、インタビューだったりテレビのコメントだったりにはちゃんと答えなさい、ということを先輩から伝えられていました。古田さんや高津さんは、受け答えもそうだし、常に何かしら面白いことを言うんですよね。あそこまではできないにしろ、少しでも近づけよう、と。僕自身、そういうのが嫌いじゃなかったので。
まあ古田さんには『お前が好きでやってるだけだろ』と言われるかもしれませんけれど、やっぱり先輩の背中を見てやってきたことが今につながっているので、スワローズがそういう環境だったということには感謝しています」


