ダイナミック・プライシングに逆オークション…話題のMLB開幕戦チケット“転売ヤー”対策に名案はある？「法律のみで撲滅するのは不可能」 

　10万枚近いチケットをオークションで販売することが技術的に困難であるとすれば、リバース・オークション形式が解決策となるだろう。

　これは、販売開始から時間の経過とともに徐々に定価を下げていく販売方法で、いくら払ってでもどうしてもチケットが欲しいという人は初期に、そうでない人は自分の予算に定価が下がるのを待ってから購入するのだ。これも通常のオークション同様、どの価格で購入したとしても転売で利鞘を稼ぐことは不可能になる。

“転売対策”の解決策はあるが…万能ではない

　オークション形式での販売は、転売ヤーを一掃させると同時に、興行側の利潤も最大化させることにもつながり、いいことづくしに見える。しかし欠点もある。それは現行の高い金額を提示した人から優先的に販売されるため、資力に余裕のない人はそうでない人に比べてどうしても不利な立場に立たされるのだ。

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　一方、興行側は「できるだけ多くのファンに手の届く価格で販売したい」という心意気を持ち合わせていると同時に、実質的な値上げに対するファンからの不満を恐れている。

　そのため今後も音楽や芸能、スポーツなどの各種チケットの販売においてオークション形式が採用される可能性は低く、均衡価格より低い定価でのチケット販売が今後も続けられ、転売ヤーものさばり続けることだろう。

©Nanae Suzuki

　言い換えれば、転売ヤーの跋扈は「平等」という理想の実現のために社会が払う代償のようなものなのかもしれない。ただそれが、成果に見合ったコストなのかどうか。社会全体で検証することも重要ではないだろうか。