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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
ダイナミック・プライシングに逆オークション…話題のMLB開幕戦チケット“転売ヤー”対策に名案はある?「法律のみで撲滅するのは不可能」
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奥窪優木Yuki Okukubo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/03/16 11:01

大スターたちの凱旋帰国を現地で見たいファンは多い。その思いが強ければ強いほど転売ヤーにとっては大きなビジネスになる
つまり現状、法律のみで転売ヤーを撲滅させることは不可能なのだ。今回のように限られた供給に対して大幅に大きな需要が集中するような市場では特にそうだ。
話題度の高さから“素人転売ヤー”の参入も…!
しかし、前出の男性チケット転売ヤーによると、転売行為の横行を誘発する要素は大谷人気だけではなかったようだ。
「一般販売の前に、抽選による先行販売が複数回行われていたのですが、ネットではその度にチケットの高額転売が話題になっていた。それを見て『もしかしたら俺にも儲けられるかも……』と参入してきた“素人転売ヤー”が多かった。100万円が当たるかもしれない宝くじがタダで買えるようなものだから、普段転売に縁のない人でも、やってみたいと思う人は少なくなかったはず。おかげで今回は私もチケットを入手することができなかった」
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ちなみに抽選販売は往々にして、転売ヤーを利する結果になりやすい。
反復継続的な転売ヤーは、チケット販売サイトのアカウントを常日頃から複数用意しているため、それらを駆使して多重申込を行う。一方で、善良なファンは「ひとり1口」といったルールを厳守する。結果、転売ヤーに流れるチケットの割合が大きくなってしまうからである。
では、転売ヤーの跋扈を防ぐにはどうすれば良かったのか。
筆者に思いつくのは、市場の均衡価格に極力近い定価でチケットを販売することである。今回の開幕戦のチケットは、15万円のダイヤモンドボックスから外野指定席見切り席の5500円という価格帯で販売された。しかし、これらが需要と供給が一致する均衡価格よりも大幅に安いということは、転売市場でそれぞれのチケットが20倍前後で取引されていることを見ても明白だ。