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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
ダイナミック・プライシングに逆オークション…話題のMLB開幕戦チケット“転売ヤー”対策に名案はある?「法律のみで撲滅するのは不可能」
posted2025/03/16 11:01

大スターたちの凱旋帰国を現地で見たいファンは多い。その思いが強ければ強いほど転売ヤーにとっては大きなビジネスになる
text by

奥窪優木Yuki Okukubo
photograph by
Nanae Suzuki
ある男性チケット転売ヤーは、筆者にこう話した。
「チケット転売サイトに開示請求して不正転売が確認されたチケットを無効化するのであれば、こんな数じゃ済まないはず。『ちゃんと対策とっているよ』という姿勢を見せるための措置に過ぎないでしょうね。逆に言えば、これ以上無効化されることはないのではないか」
この見立ては、法律論的にも一理あるようだ。
消費者契約法を理由に「逆訴訟」も?
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加藤・轟木法律事務所の共同代表で弁護士の加藤博太郎氏が解説する。
「チケット販売時に転売禁止条項を設けておくことで、それに反して転売されたチケットを無効化することは可能です。ただ、転売チケットを無効にされた購入者は、憲法で保障されている財産権や、消費者の利益を一方的に害する契約条項を無効とすると規定している消費者契約法を盾に取り、訴訟を起こす可能性もある。今回のように転売チケットが高額化している場合はなおさらでしょう。つまり、転売の無効化を厳格に実行しようとすれば、興行主にとっての面倒が起きるリスクが高まる」
ただ、今回のMLB東京シリーズは、2019年に施行されたチケット不正転売禁止法で刑事罰の対象ともなっている「特定興行」に該当する。ではなぜ警察は、転売ヤーや、その温床となっている転売サイトを野放しにするのか。
「同法は、反復継続的に『業として』行うチケット転売が処罰の対象であり、単発の転売行為を取り締まることは想定されていない。さらに業として行っている転売ヤーであっても、反復継続性を立証することは容易ではありません。転売サイトについても『反復継続的な転売ヤーとは知らなかった』と主張をされれば、転売サイトに直接的な刑事責任を問うことは難しい」(前出・加藤氏)