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「どうやって生き延びるか…もがいているだけです」ダルビッシュ有が明かす“38歳の身体”の本音…大谷翔平を支えた“あの捕手”とも初バッテリー
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笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2025/03/12 17:48
今年39歳を迎えるダルビッシュ有。スプリングトレーニングでは、新たな試行錯誤を行った
11種類もの球種を操ると言われるダルビッシュの新球なのか。ガーディアンズ戦でもダルビッシュはそのパワー・スライダーを投じ、マイナーの右打者を二飛、左打者からは空振り三振を奪った。試合後、確認すると説明をしてくれた。
「86~7マイル(約138キロ~140キロ)のスライダーのことなんですけど、ちょっと変化の仕方を変えて、もうちょっと縦変化を多くした。(今日は)いい球は投げていたけど、スタートからちょっとあまりにも外からだったりでバッターが振ってくれなかったりとかあったので、そこの調整がこれから必要かなと思いますね」
これまでも投げていたスライダーの改良版とは言え、日米通算21年目にして挑む新球。立ち止まることは後退と考える右腕にとっては当然のトライと言えるが、すぐさま新球としてマッチングしてしまうところがダルビッシュらしい。
今年39歳のダルビッシュ「筋肉の反応も変わってくる」
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さらに新たなる試みはこれだけではなかった。セットポジションから投げるスタイルに変わりはないが、股関節の角度が90度ほどに保たれ、そのまま本塁方向へ重心がシフトしていく。本人はこの一連の動作を『並進運動』と説明した。
「股関節がちゃんと引っ込んだうえで、股関節を保って倒していくと、ちゃんとロードしたまま(本塁方向へ)並進に入れるので。その練習を今、しています。倒れることだけを意識する。股関節がちゃんと引っ込んだのを内転筋を使って、右足の大腿骨が外旋しないように、ちゃんと大腿骨を(内側に)締めた上でこっち(股関節)を引いてそのまま出ていく」
少し難しい話になるが、わかりやすく説明すれば、右股関節を締め90度で前傾をとり、膝が外側に流れることなくマウンドの傾斜を利用し、本塁方向へまっすぐに体重移動を図る。筋力で本塁方向へのベクトルを作るのではなく、あくまでもマウンドの傾斜と重力に準じて投げる。その狙いをダルビッシュはこう説明した。
「今年39(歳)なので。筋肉とかの反応も変わってくるというか。思っていたようにパンプしなかったりとか。思ったより張ってしまうというのもあるので。出力も急に変わったりするので。だから今までみたいに筋肉を使って投げていくと限界がある。若かったら大丈夫だと思いますけど。骨格であったり、体のメカニズムとかを使った投げ方にしていきたいなというふうに今は思っています」

