プロ野球PRESSBACK NUMBER
落合博満“じつは中日コーチ人事で異変あった”監督1年目…一軍から二軍降格、電撃辞任まで「メディアに情報漏えいが原因」説は本当か? 鈴木孝政に直撃
posted2025/03/14 11:02

落合博満監督が鈴木孝政を二軍投手コーチに配置転換したとされている。あの噂の真相とは
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph by
Tabun Matsuzono
現在の通説では、2004年、鈴木孝政投手チーフコーチが報道陣に先発情報などを漏洩していたため、落合博満監督が二軍投手コーチに配置転換したとされている。これは、本当なのだろうか。
真相を孝政本人に尋ねた。
真相を尋ねた…質疑応答の模様
――(記者に)先発を教えてたんじゃないかと言われてますが。
ADVERTISEMENT
孝政 (驚きながら)そんなこと言われた? それはないわ。
――それはないですか。
孝政 それはない。
――先発ピッチャー今日、誰が投げるとか。
孝政 それはない。スパイ扱い?(笑)
――スパイのような見方をする人もいる。
孝政 ああ、なるほどね。それはないです。
――勘違いが広まって……広まってるのかわからないですけど。中には、そう思ってる人もいるみたいなんで。
孝政 ああ、はいはい。でも、いいですよ。それは。もういい。そこで「こうだったですよ」「違いますよ」と言ったって、始まらないもん。
孝政は明確に否定した。普段インターネットに触れないため、スパイ疑惑を囁かれていることさえ知らず、過去に質問された経験もなかった。そもそも、落合監督や森繁和コーチに「おまえ、情報漏洩してるのか」と直接聞かれたわけでもない。その確認はなかったようだ。
【検証】情報は本当に漏れていた?
ただ、本人の言葉だけを鵜呑みにするわけにもいかない。孝政の一軍コーチ時代と二軍コーチ時代における、『中日スポーツ』の先発予想の的中率を見てみよう。(2004年のデータ/確率は小数点第2位以下を四捨五入)。
2004年:138試合
一軍コーチ時代:的中率84.9%(53試合中45試合)
二軍コーチ時代:的中率78.8%(85試合中67試合)消化試合を除くと81.3%
6.1%の差はあるが、確率を計算する場合、試合数の少ないほうが高い数字になりがちだ。先発予想のしにくい優勝決定後の的中率は40%(5試合中2試合)であり、それを除くと後者は81.3%に上昇する。同じ条件の相手先発の的中率は94.7%(133試合中126試合)だが、消化試合では60%(5試合中3試合)に過ぎず、当てにくくなる。
つまり、孝政の配置転換があっても、ほとんど差はなかった。